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2014-11-13

ZONE 存在しなかった命

2011年3月11日福島第一原子力発電所にて事故発生。翌12日機能停止、全燃料がメルトダウンに至ったとみられる。

その事故による警戒区域、数日で帰宅できるとペットや家畜を置いて我が家を離れた避難民。

しかし、その日から残されたペットや家畜の地獄は始まる。

一向に避難解除がなされず、ペットの避難も許されない中、日本政府は家畜の殺処分を命じ、ペット救援のボランティアの警戒区域立ち入りを禁じる。

警察の目をかいくぐり、放置ペットへ餌やりを続ける人々、殺処分から家畜を救おうとする人々。

「こいつらは被曝の生き証人」

空腹で小屋を食べて死んだ犬、共食いをせず寄り添って死んだ犬達、飼い主を求めて服の中で死んだ猫、助けを求めて床を掻きむしって死んだ猫、寂しさから電柵をも越えてくる牛、九死に一生を得た後に殺処分された母子の牛達 (岡山 正俊 氏より)

ここに取り残したらどうなるか判るはず。感性の欠如。

先進国の地獄絵に助け出す人々はこの国の酷さを嘆いている。

2014-10-10

蜩ノ記 A Samurai Chronicle

不手際を起こした武士が命じられたのはとんでもない事件を起こし、10年の幽閉の後、切腹を命じられた男の監視役。

時代劇を絶やすなという動きだろうか。先日の「柘榴坂の仇討」に続き、「蜩ノ記」を観る。

武家の生活や日本の自然を意識した映像の積み重ねの中で描かれる静かなる残酷は眠気を誘いもするけど、話のたたみかけで無慈悲な武士社会を浮き立たさせる作りはうまいけど、謎解きの終盤は通俗。

歴史を鏡とせよと語られる無慈悲な社会があまりにも行儀よすぎる不自然さもあり、日本映画が誇るちょんまげをつけた現代劇である時代劇の面白さがない。

いつから日本映画は時代劇となると様式に固執して人の情を描くのが下手になったのだろうか?

2014-10-06

1973年のクーデターから始まったチリのピノチェト独裁政権。国際批判が強まった1988年、ピノチェトの任期延長の是非を問う国民投票の実施が決まるが、ノー派に与えられたのは深夜の15分間のテレビ放送のみ。この映画は若き広告マンが恐怖政治と闘い、コマーシャル感覚が政治を変えた物語。

チリのピノチェト独裁政権の話は何本も映画化されており、有名ではあり、その終焉を描いたこの作品は政治運動のあり方を描いた点でも大変面白かったが、当時の色があせたテレビ映像と同じ色調で作られた映画映像がやはり凄い。

独裁政権の残虐さを訴えるべきと語る左翼幹部の頭の固さと広告マンの斬新なコマーシャル感覚での世論アピール、メディアの力の勝利とそれに対する恐怖政治の圧力、そして軍部の提言による独裁政治の終了。その時代を映画は映し出す。

2014-10-03

ジャージー・ボーイズ Jersey Boys

クリント・イーストウッド監督の新作ということで何の予備知識なしに観に行ったが、1960年代に一世風靡した男声コーラスグループで、ヒット曲を多数輩出してザ・フォー・シーズンの秘話を描いた話で、人気ブロードウェイミュージカルの映画化。

ニュージャージー州の不良少年だった彼らのサクセスストーリーはやがて、グループの破綻とリードボーカル、フランキー・バリの家庭の崩壊、そしてリベンジとクリント・イーストウッドらしい人間ドラマが繰り広げられるけど、何故クリント・イーストウッドが監督したのかと思いながら観た。

喧嘩別れから20数年経た彼らの再会はキッズ・リターンズしてあの頃に帰る。クリント・イーストウッドの若い頃の映像もチラッと映り、1960年代を振り返る。そんな思いがあるのかしら。

2014-09-30

柘榴坂の仇討 Zakurozaka no adauchi

浅田次郎の「五郎治殿御始末に収録された短編小説の映画化で、桜田門外の変で井伊直弼大老を守れなかった男と殺した男の13年後の出逢いを描いた作品。

ネットの評価が高く期待して観に行ったけど、淡々と描かれる二人の生き様が情感を求められるだけに、役者の力量が求められる分、物足りなかった。

それは本題の志村金吾と佐橋十兵衛のやりとりだけではなく、例えば金の返済を迫られた男に加勢する元武士の話などにも情感が足りなく筋通りの絵にしかなっていない、そんな感じが残る。

役者たちも力まずいい芝居をしているけれど、何か物足りない。それは屈辱と後悔に生きた13年の時間を背負う男二人の情感が描かれているかどうかなんだと思う。

2014-09-26

リスボンに誘われて Night Train to Lisbon

妻を亡くし独り身の大学教授がある朝、自殺しかけていた女性をとめ、その女性が忘れていった本に惹かれて、リスボンのその著作者の家を訪れ、40年前のポルトガルのレジスタンスに生きた人々の話を聴く。

名優たちが演じるレジスタンスに生きた人々の今が見応えあり、大学教授が歩き回るリスボンの街並の美しさにも惹かれる。

サスペンス風に描かれる40年前のドラマが解き明かされた時、今に生きる初老の大学教授がこの街で生きたいと思う感情、何となく判る。

スイスとリスボンを結ぶ夜行列車にも興味があるけど。

2014-09-23

イン・ザ・ヒーロー In The Hero

唐沢寿明主演の顔も名前も出ることのない俳優、スーツアクターの映画。予告を観た時、特に食指も沸かず観る気もなかったけど、ネットの評価を見ると評判がよいので観に行った。

スーツアクターと売れっ子アイドルの出逢いから始まる物語は映画、ドラマの裏方と呼ばれる世界の話を語り初め、この人達と協調していかなければ映画、ドラマは成り立たない事を描いていく。

スーツアクターの生活環境は平成の現代でありながら、そこかしこに昭和の臭いが出ている。それが何ともいえず、スーツアクターの生き様も自然なものに映し出す。

けど、やっぱりスーツアクターのアイドルはブルース・リーで、自分のしていることに誇りと責任を持つんだな。

後半のハリウッド映画への抜擢から始まる「リスクを背負ってヒーローになれ」の熱いドラマ、エンディングの吉川晃司の熱い歌。映画は熱くなりながらも、オープニングと同じ形で映画は終わる。

名も顔も知られることのないスーツアクターの物語らしい始まりと終わり。

リスクを恐れて、リスクマネージメントも考えることなく、ワーキングプアに生きる平成ボーイたちはこの平成時代の昭和映画をどう観るのだろう。かな。

2014-09-19

舞妓はレディ Maiko wa Lady

周防正行監督の新作は「マイ・フェア・レディの舞妓リメイク。

海外に対する受け狙いのような気もするけど、中だるみも元映画と同じというのは何だかなと思う。

主役の上白石萌音が個性的というか存在感があり、それだけで引っ張っている感じもする。

田舎娘のサクセスストーリーに日本的なものをふんだんに織り交ぜながらも、昔の日本映画とはどこか違う日本を見せる、そこが周防正行マジックなんだろう。

もう少し爽快感が欲しいところだけど、なんかどんよりしているしているのも周防正行らしいところ。

2014-09-16

わたしは生きていける How I Live Now

多感な少女がイギリスのロンドン郊外に住む従兄弟と過ごすうち、明るさを取り戻していく日々、ロンドンで核爆発テロが起きる。少女たちはサバイバルに生きる宿命を背負わされる。

今まで数知れなく描かれた核戦争もの。この映画はその戦争に巻き込まれていくそれでも生きる子供たちの物語。

核爆発後の世界の放射能汚染とテロリストという見えない恐怖と見える恐怖にさいなまれる子供たち。そんな世界を自分を規則の殻に閉じ込めていた少女に託す。

核爆発とテロという現実に起こりえる今日、放射能汚染への対策は何か甘い気もするけど、サバイバルに生きなきゃ生きられない今日を映画は映し出す。

オープニングのサンディ・デニーの歌もそれを意図しているのかな?

2014-09-12

グレートデイズ! 夢に挑んだ父と子 De toutes nos forces

身体の不自由な息子にどう接すればいいのか判らない父。職を失い落ち込む父を元気づけたい息子。父がかつてトライアスロンの選手だったことを知り、最難関のアイアンマンレースに出ようと父にチームを組むことを持ちかける息子。

あまり触手わかなかった映画だけど、評判がいいようなので観に行った。

前半の父と子の話は子供の自立を軸としてなかなか観せるけど、後半のアイアンマンレースは山場が変に見世物的で白けてしまった。

映画サイトによると主役の男の子は未熟児として産まれた脳神経障がいの方のようで身体を使う役を演じきっていて感心したし、その友達の脳性麻痺だろう人もなかなかウィットに富んだ演技で頼ませてくれただけに、残念。

過保護になりがちの母親からの自立というテーマは障がい者でなくても映画になりそうに思うのは日本だからでしょうか?

2014-09-05

LUCY ルーシー

人間の脳は10%しか使われていない。

リュック・ベッソンの新作は事件に巻き込まれ、脳細胞が覚醒し、使われていない脳細胞へのアクセスが広がる女の物語。

リュック・ベッソンお得意の女性が絡むアクション映画に、SFチックな内容が加味されるのはいいけれど、脳細胞の役割はそんなに広がるんかいと云いたくなる程、超能力のオンパレード。

脳細胞の役割が記憶と予知にあるのは判るとして、五感や他の身体機能との関わりを無視しての脳の役割を突き詰めればコンピューターになるわけで、コンピューターへの過信がこんなつまらない話を作ってしまった。そんな感じ。

「10%しか脳が使われていないから人を求める」ならば、脳が覚醒したならば人は人を求めるのか、人を妨げるのか。そんなテーマの方が遙かに面白いとは思うけど。

けど、使われない脳細胞は秘めたる能力なのだろうか。機能障害起こした時のスペアのような気がするけど、20%の脳が使われているというイルカは予知能力が優れているという。人間は便利さに頼るから予知能力が使われなくなったのかもね。

2014-09-04

パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間 Parkland

1963年11月22日、遊説のためテキサス州ダラスを訪れたアメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディは、パレードの最中に何者かに狙撃され、凶弾に倒れる。その時、ダラスの街で何が起こったのか。

大統領警護員。ダラス市警。FBI。大統領が搬送された病院の医師達。狙撃された瞬間を8ミリで撮影していた男性とシークレットサービス。そして、オズワルド容疑者の肉親。

大統領が撃たれた時に、民主主義国家の素顔が現れる。

搬送された病院のV.I.P対応。ニューヨークは戻す遺体に対する敬意と大統領夫人ではなくなったジャクリーンへの対応。狙撃された瞬間を映された映像に群がるマスメディアとケネディを敬愛していた撮影者の失望。クレーマーだったオズワルド容疑者を見過ごしていたFBIの過失。そして、オズワルド容疑者の肉親へのバッシング。

映画はケネディ暗殺という素材を見せつつ、民主主義国家の素顔を描き出す。終盤のオズワルド容疑者の埋葬場面にケネディ大統領の葬儀の様子を伝えるニュースキャスターの語りが被さる構成がこの映画の意図を見事に示している。

2014-09-01

TOKYO TRIBE

地震でなくても揺れる東京。暴力が支配し、縄張りを競い合う近未来のトウキョー。全編ラップで語られる群衆バトル。

物語の語り部である染谷将太は本編に絡むことなく、ムキムキマッチョの鈴木亮平のテンションの高さは居並ぶ怪演軍団の中でもずば抜けていて、荒廃した街は「仁義なき戦いを思わせ、山場の大乱闘は「クローズを思い出せる。

戦争の口実なんて何でもよい。お前のチンポが俺のよりでかいから潰す。

喪失の街、東京に生臭ラップはよく似合う。

2014-08-29

喰女 クイメ Over Your Dead Body

四谷怪談の舞台を演じる役者のプライベート。そのプライベートが物語と重なり合い。

よくある話でもあるけれど、海老蔵の企画で、海老蔵、柴咲コウ、伊藤英明が演じてみせる四谷怪談とその舞台セット。

初めは舞台稽古とプライベートの同時進行が面白かったけれど、中盤からのプライベートがぐちゃぐちゃになり、ぐちゃぐちゃになった分、四谷怪談の物語の山場が独立しちゃって、プライベートの結末もポツンと出てきてしまう。そんな半端な映画になっちゃった。

舞台稽古の前や後のプライベート・シーンがせっかく活きているのに、もったいない。

柴咲コウの元カレという設定の伊藤英明が舞台と素顔のギャップを見せていてとてもよかったのに。

三池崇史のホラー映画はもういらないかも知れない。

プロミスト・ランド Promised Land

貧しい町に天然ガス採掘の話。土地買収に来たのは実直な青年。

町の土地を持つ地主たちを熱心に説き伏せる青年の前に環境保護を訴える男が現れ青年を邪魔する。

経済活性か環境保護かというテーマを天然ガスの社員を主役に据え、その人間の人間ドラマとして見せる見せ方はガス・ヴァン・サントらしい語り口。

会社の正義と自分の正義。生きるためと選ぶその選択は本当に自分が生きるための選択なのか。組織社会での自分のポジションをさらりと描いて見せる。

貧しい田舎町を俯瞰する映像が無言にして雄弁。

2014-08-25

シンプル・シモン I rymden finns inga kanslor

アスペルガー症候群ってどんなんだったっけと思いつつ、無性に観たくて、仕事後、夕方から一回きりの上映に足を運んだ。

シモンは混乱すると宇宙と接する事が出来るドラム缶に閉じこもるアスペルガー症候群の青年。親が手を余しているのを見かね、彼女と一緒に暮らす兄の家に居候。

時間通りに予定されているスケジュールをこなさなきゃ納得できないシモンに兄の彼女はついて行けずに兄と別れ、方程式が崩れるとシモンは兄の新しい彼女を見つけるべく行動開始。

ソースと愛は時間がかかる。磁石のように好みが違う方がお互い惹かれ会う。感情は丸い円のように一周して元に戻る。シモンは兄の彼女捜しでいろんな事を覚えていく。

やっと見つけた理想の彼女と兄を惹き併せるもうまくいかずシモンはパニクるけど、それはシモンが彼女のことが大好きだから。

アスペルガー症候群の人のコミュニケーションの苦手さをうまくドラマに活かしたラブコメは、人は嬉しくても涙を流すように、泣かしてくれる。

方程式通りでないと納得できないアスペルガー症候群もどきの人間は山程いるけど、シモンはあなた方と同じ、ただリアクションがシンプルなだけ。そんな映画は観た者を幸福にしてくれる。

2014-08-22

めぐり逢わせのお弁当 Dabba

巷はインド映画ブームのようで、今年も話題作が次々公開されている。

「めぐり逢わせのお弁当」は予告ではロマンティックな宣伝をしているけれど、本編は弁当から始まる境遇の違う男と女の文通話。

初めは弁当の料理の話をしていた二人が誰にも話せないそれぞれの悩みに変わり、互いに理想を求めるようになる。

そこから経済成長のインド社会のひずみが見えてくるのだけれど、この二人の設定の詰めがどうも甘いようで、弁当の配達ミスからしてその先に進むかなという基本的な疑問がある。

インドの社会問題をうまく織り込みながら語る物語はうまいけど、細かな部分がいい加減だから、なんかストーンと胸を打たなかった。

2014-08-21

STAND BY ME ドラえもん Doraemon

職場のレクで観に行ったドラえもん映画。テレビアニメのドラえもんもろくに見たこともないのに、初めてのドラえもん映画、まずは楽しめた。

ドラえもんの名場面集といわれても全然観ていない僕としてはドラえもんの名小道具が次々と飛び出す前半と未来ののび太青年を応援するのび太少年の物語の後半。それを3D(観たのは2D)で観せる趣向。

背景の描き方なんか「三丁目の夕日」みたいでどこかノスタルジックで、ドラえもん頼りののび太君の少し大人になる物語は、子供だった大人たちへの物語にもなっている。

「お前、泣いたろ」「泣いてねぇよ」映画が終わった後に友達同士で来ていた学生たちの会話がとてもストレートに入ってきた。「人のことで喜べて、人のことで泣ける奴」のび太もドラえもんも素敵なのはそこなんだよな。

2014-08-18

2つ目の窓 Still the Water

あまり観る気がせずにいた作品だけど、観たい映画が全然ないので観に行ったが、予想通り、テーマが物語として消化されていなく、映像だけが一人歩きしたようなそんな映画だった。

沖縄かなと思いながらもちょっと違うよなと思っていた映画の舞台は奄美であり、随所に奄美民謡が歌われる。

すっかりお爺さんになった常田富士男と松田美由紀の演技が光っていたし、ネットの感想で下手と云われた若手二人は瑞々しい演技で頑張っていると思ったが、ドラマ性を押さえながらも組み込まれたドラマがまずかった。

サーフィンのキーワードなんて映像でも出てこないのに語られるから無意味に感じられるし、サーフィンで語られる自然と人間の話もピンとこない。

生と死、老いと若さ。孤独と共生。云わんとしていることはいいのだけれど。

2014-08-15

幕末高校生 Time Trip App

現代の高校生が幕末にタイムトリップして、勝海舟に会う。

歴史があるから今の自分がいるというテーゼに従うドラマは原案にクレジットされている眉村卓らしいドラマ。

細かなシークエンスの設定は結構いい加減だけど、まずまず楽しめる。

タイムトリップして今を知る。例えば1945年の原爆投下前に、敗戦を叫んだところで歴史は変わるのか、東日本大震災の前に原発事故を叫んで回避できるのか、そう考えれば時代の狂気はよく見えるのかも知れない。

明治の時代に生きた勝海舟は幕末をどう振り返っていたのだろう。