35年ほど前に日本の女性の自立「Keiko」を撮って脚光を浴びたカナダのクロード・ガニオンの新作。
奥さんとも別れ、友だちも死に、父母が亡くなった歳に自分もなろうとするカナダ人の初老の男が芭蕉布に憧れ、訪れた沖縄。そこで出逢った亭主の暴力に悩む女性とのロードムービーは自然と強調して生きる生き方を描き出す。
自然と強調して生きる沖縄の人達。その住む街はアメリカ軍が作ったアメリカナイズした街並みで、街の真ん中に皇居のように基地がある。それに違和感を唱える初老のカナダ男性に、別段共鳴するそぶりも見せない女性。
その女性が暴力亭主から逃れ、カナダ男性と沖縄の旅を始めて、見えてくるもの。
それは友だちの80代になるお祖母ちゃんが「生きるのが楽しみになったのは65歳から」と語ることだったり、ストレス抱えたカナダ男性が食べ物に文句をつけ、民謡ライブの途中で帰ったりすることを怒ったりして、自分が自分であることに気付く時。
カナダ男性も芭蕉布の制作工房で自分の求めていたものに巡り会う。
働くために生きるのではなく、生きている実感を掴む時、人は「生きる楽しみ」を知る。
米軍基地の違和感を実感出来るのも「生きる楽しみ」があるから。
クロード・ガニオンの幸福論にニンマリさせられる一時。
どこにでもいる小母さんになった工藤夕貴にも感動。
0 件のコメント:
コメントを投稿