「子供と酔っぱらいは嘘をつかない」デンマークのことわざだそうだけど、この映画は少女のささやかな嘘が尊厳の闘いとなった物語とキャッチフレーズで宣伝されていた。
しかし、映画の中に少女のささやかな嘘はどこにもなく、表現未熟な子供の言葉を間に受けた大人たちの愚かさが尊厳の闘いとなった物語であった。
少女の言葉を大げさに受け止める幼稚園の園長。相談受け、少女に誘導尋問する男。それを裏付けとして変質者の烙印を押される主人公は警察から無罪放免されても疑われる。
ここに描かれる村社会は当事者を離れて、異端視だけが一人歩きしていき、尊厳の闘いは殺し合いにまでエスカレートしていく。
嘘が嘘でなくなることを恐れるための嘘が尊厳を葬り去る。そんな哀れな大人の世界が恐ろしい。
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