伝説の天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャー。
米ソ冷戦下、チェス最強国ソ連のボリス・スパスキーと対局を軸に、チェスにのめり込むあまり精神のバランスが崩れ、突飛な行動を起こす奇人の半生は嫌悪しながらも、引き込まれる。
強迫観念が強まり、反共、反ユダヤ、果ては反米にまで向かう言動は狂気であると同時におかしくもあり、チェスの勝負での駆け引きではどこからが精神破綻なのか判らない。
それに巻き込まれ、対戦相手のボリス・スパスキーも神経質になっていく試合会場の異常さは笑ってしまうが、そこが頭脳戦の恐ろしさ。
狂気の中の正気なのか、ボリス・スパスキーを打ち負かす彼は更に壊れていったというから恐ろしい。
チェスのやりとり場面はなんとなくしか判らないけど、テーブルゲームの対戦相手が宿敵国の代表で国家のプレッシャーを一心に背負ったとすれば、反共、反ユダヤ、反米になるのは理解出来る。
米国という重みから解放されたのだろう晩年の彼が幸福だったろうことが何より救い。
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