今年のキネ旬ベスト10で第一位に輝いた橋口亮輔監督の久々の新作。
通り魔事件で妻を失い、犯人に責任取らせようと奔走する男。夫と姑からかまわれずに妖しい持ちかけに心揺れる女。親友に秘めたる想いを持つゲイの弁護士。
三人のドラマが平行して進行する物語はドキュメンタリー調で取っ付きづらいながら、生身の人間臭さを画面に醸し出す。
「飲み込めない想いを飲み込みながら生きている人たち」のドラマの中、「世の中には、いい馬鹿と悪い馬鹿とタチの悪い馬鹿がいる。」と語られ、お前はいい馬鹿だよと言われる主人公。
自分の存在価値を認めて欲しいだけの恋人たち。どんどん不条理になる現代のそれぞれの居場所探しが愛おしく、エンディングに映る高層化した東京の今の街並みの中、我々は生きている、そんな想いを抱かせる。
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