今年、2012年1月24日に亡くなられたギリシャのテオ・アンゲロプロス監督の追悼上映として、国境三部作の「こうのとり、たちずさんで」「霧の中の風景」二作品が名画座の蠍座で上映されており、二本続けてみるか、今日一本、月曜日にもう一本観るか、迷いつつ、結局、今日は「こうのとり、たちずさんで」のみ観る事にした。
テオ・アンゲロプロス監督作品はギリシャでも「寝付かない子供にテオ・アンゲロプロスの映画見せれば寝る」とまで言われるほど、長廻し、曇天の画面、余計な効果音を使わない作風で、体調万全でも睡魔との闘いに襲われる危険性がある。
「こうのとり、たちずさんで」一本だけでも少し疲れ気味だったので、睡魔と闘ったのだけど、見逃していた作品、寝ずに完走する事が出来た。(笑)
マルチェロ・マストロヤンニとジャンヌ・モローの共演作でもあり、冷戦後の「国境」の問題を捉えたアンゲロプロスの作品は淡々とアルバニアとの国境ラインを映し出す。
『一歩踏み出せば、異国か、死か』国境そばの難民の町。『家に帰るのに何回国境を越えればいいのか』
失踪した政治家とその妻がこの国境そばの難民の町で再会しつつも、互いに認めず、男はまた国境を越えていなくなる。
冷戦崩壊後の棄民たちへのレクイエムは国境ラインで、こうのとりのように片足立ちするテレビレポーターと難民の町の送電線の補修を黄色い作業着を着、電柱に昇り行う難民たちで締め括られる。
『家に帰るのに何回国境を越えればいいのか』見えない国境に立ち尽くす人を思い、難民に過酷なこの国を思い返した。
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