テオ・アンゲロプロス監督追悼上映二本目。「霧の中の風景」
今朝の地元新聞にも紹介されていたとかで上映している蠍座も金曜より混んでいた。まぁ、最終日だからというのもあるだろうけど。
「霧の中の風景」も「こうのとり、たちずさんで」と同じくフイルム上映で、傷みによる雨が降ってもブルーレイでは味わえない映像美。おそらくこれが見納めだろう。
金曜よりも体調は優れず、上映の間、眠気との闘いではあったけれど、国境を知らない幼い姉弟の旅とふれあえる。
名作「旅芸人の記録」旅芸人一座が現れ、ギリシャの侵略と弾圧の歴史を語ったり、トラック運転手に姉の処女を奪われたり、好意的にしてくれた青年がホモセクシャルだったりと、混沌とした冷戦崩壊前夜の世の中で、人差し指が欠け落ちた巨大なオブジェクトが海から引き上げられる。
何とも観念的な事柄で繋げられた幼い姉弟の旅は銃声と共に「国境の向こう」という「霧の中の風景」に辿り着く。
テオ・アンゲロプロス監督は「シテール島への船出」で死出の旅の向こうに希望、願いに辿り着いたように、幼い姉弟の旅を終わらせる。
評価高い作品でありながら、冷戦後の混沌から20世紀三部作に向かったテオ・アンゲロプロス監督の作品群を思い返すと観念的に振り回された感じがしてならない。
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