2021-09-23

MINAMATA -ミナマタ-

観たい映画もなく、映画館から遠ざかっている間に、コロナの時代となり、2年振りの映画館。

ジョニー・ディップが水俣病を題材にした作品に出ると知りの鑑賞と相成った。

「島原の子守歌」から始まるこの映画。米国のライフ誌で活躍していたユージン・スミス氏が水俣病と出逢い、水俣病患者と家族達の境遇を世界に知らしめた実話を元にした話。

ユージン・スミス氏を演じるジョニー・ディップがまずはいい。若い頃のやんちゃなイメージを思い出させる冒頭から水俣に行き、毒を垂れ流す企業で成り立つ街のしがらみに翻弄されるディップに苦悩するおじさんの色気が出ていていい感じ。

そして、近代化で1970年前後の面影を見つけるのが難しい水俣をロケ地とせずに、東欧のセルビアで撮影されたというのも気になっていた点で、確かに1970年前後の日本というよりは映画で見覚えある東欧らしい風景はやはり違和感。

もう昔の日本を再現出来る場所は世界中探してもないのかも知れないね。

水俣の場面で登場する日本の主立った役者たちは国際的に活躍している日本の俳優が演じており、訴訟団のリーダー役を務めた真田広之は今の日本人が演説しても白けるような台詞を堂々とぶちかまし、様になっているのが凄いと思った。

それだけ今の日本はあの田舎臭さ残る経済成長期とはまるきり違う日本なのだろう。

世界に知らしめた有名な水俣の写真の逸話で終わる映画はいまだ裁判闘争は続いていると締めくくられ、エンドロールで世界各地で起きた環境汚染の写真を映し出す。

日本だけではなく1970年代から急速に増え始めたアトピー、アレルギーもおそらく環境汚染だろう。

そういう意味でも今の世界は水俣の子と同じなのかも知れないね。

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