2011-10-03

ちいさな哲学者たち Ce n'est qu'un début

フランスの公立幼稚園で行われた哲学の授業風景を追ったドキュメンタリーであるこの映画。

そもそも哲学とは何なのか、「哲学」を高尚なものにしてしまっている日本では「幼稚園で哲学」という事がまず理解出来ないんじゃないだろうか?

哲学プログラムはごくごく簡単なもので、「愛」だとか、「友達」だとか、「家族」、「恋人」、「性別」、「貧困」。「子供と大人」などなどお題を先生が提示して、子供たちに議論をさせるもの。

脱線してもかまわないけど、議論の進行役である先生はそれぞれの話を転がす形で他の子供たちに振っていく。

「大人にあって子供にないもの」逆に「子供にあって大人にないもの」なんていう質問から子供たちは頭をフル回転させ始める。

「友達と恋人の違い」から「お父さんとお母さんは恋人なのか」という疑問が広がり、好きな子と自分は「友達なのか、恋人なのか」の疑問にも広がっていく。

肌の色様々の多民族社会である幼稚園は、ホームレスをどう感じるかから、男性と女性は同じなのか、アフリカは貧しいのかまで話が広がる。

その議論を子供たちは家に帰り、両親に話し、両親からは話し始めにくい「生と死」の問題などが子供たちの口から話され、会話のきっかけになったという報告も描かれる。

僕も子供の頃、映画館に連れて行って貰った母から中学の時に、暴力シーンやSEXシーンが沢山出て来る「時計じかけのオレンジ」を見終えた後に、「どう思った?」と聞かれ、どぎまぎしながらも正直に「面白かった」と答え、「連れてきて良かった。始まった時は失敗したと思ったけど」と答えてくれて、一人前の大人扱いされ、嬉しかった想い出があるけど、この子等もそうなんだろうなと思った。

哲学とは、自分で考える事と、人の話を聴くこと。

映画の中、先生が意見が対立し、暴力を振るった子に、「暴力で人の意見を変えられるの?」と問いただす場面があったけど。

単調な場面が続く映画だけど、子供たちに未来を託すとはこういう事なのかなと思ったり。

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