大工哲弘さんの『蓮菜行』の2枚目後半はやはりとりわけ素晴らしい。
「一坪たりとも渡すまい」で東シナ海の平和を願い、「標準語励行の唄」で八重山史を「国民の煙草 新生」で、日本庶民感情を歌い連ねて、ラスト曲人種差別の少ないブラジルへの憧れ「トラヴェシア Travessia」に辿り着く。
ちょっと気になり、「トラヴェシア Travessia」の元歌を歌ったミルトン・ナシメントのCDを聞き返す。
「トラベシア Travessia」は1960年代軍事政権下、若者の反逆の時代、デビューを果たしたミルトン・ナシメントの初期代表曲。
君が行ってしまった
僕の人生には夜が来た
僕は強いさ。でもどうしょうもない
今日じゃ涙も止まらない
この家も自分のものじゃなく
自分の場所じゃないみたいだ
僕はひとり、耐えられない
話したい事がたくさんあるんだ
あきらかに軍事政権となり、自由を失った者の哀しみを歌った歌。歌は「それでも僕は生きていく/もう夢は見ないのだから/今日僕はこの人生を、自らの力に頼んでやっていく」と締めくくられる。
数年後、世界平和を歌う先進国ロッカーにミルトンはこんな歌を贈る。
君たちは知らない この世界のごみ溜めを
怯える事などない 孤独ももう必要ない
毎日は生きるための日だ「レノンとマッカートニーに捧ぐ」
アルバム『ミルトン』収録
言論弾圧に歌のないアルバム「MILAGRE DOS PEIXES 」を出し、その後、仲間とCLUBE DA ESQUINAを作り、郷里で活動続ける。
ブラジル民主化の頃、「学生の心」「人生のダンスパーティ」などの名曲を歌う。
日本のミルトン・ナシメント(笑)岡林信康は90年代「我が祖国」という歌を歌う。
母なる大地埋め立てろ 煙の工場でモノ作り
他国に売ってゼニ稼げ 食い物なんぞは買えばいい
母なる大地を切り刻め カラダを売るようなものだけど
慣れてしまえぱ何のこと 今じゃガキでもカラダ売るああ我が祖国、日の本は 小金のうなる朝日楼
お金を生まぬ無駄な物 愛する国から消してやる
あの山削れハイウェイ コンクリートでメイキャップ
煙は進歩のバロメーター お水や空気が汚れても
他所から買えばええじゃないか 金で買えないものはないああ我が祖国、日の本は 小金のうなる朝日楼
今じゃ世界のAクラス 朝から頬張るハンバーグ
小学生の成人病 健康ブームにダイエット
病気を知らぬは野蛮人 文明人はデリケート
夏には冷房、冬暖房 お天道様など知りまへんああ我が祖国、日の本は 小金のうなる朝日楼
アルバム『BEAR KNUCKLE MUSIC』
(1990年作品収録 USENの音楽ダウンロードサービス『OnGen』試聴購入可能)
iTunes Music Store 我が祖国(iTunesインストール済みで利用可能です)
暖冬から猛暑へ?
日本のレノンとマッカートニーに捧ぐ
0 件のコメント:
コメントを投稿