「世界のどこかで誰かが不正な目にあっていたら、いつもそれを感じることができるようになりなさい」後に我が子に宛てた手紙にこう書いたエルネスト・チェ・ゲバラが若き日に我が大地、南米を旅した時の日記集。
身動き取れない入院中から読み始め、退院し、あちこち動き回れるようになった今、やっと読み終えた。
ハンセン病を学び、その実態を旅することで知っていったゲバラは、否応なしに南米の歴史と向き合うことになる。
生きるために人を欺くインディオたちとその祖先が築き、葬り去られた文化遺産の数々。
エルネスト・チェ・ゲバラを革命に駆り立てたものが何だったのかの記録である「モーターサイクル・ダイアリーズ」は言葉に書き綴った分、読み手のイマジネーションを求め続ける。
医師の役目とは何なのか、巻末に納められたキューバ革命の後に演説したゲバラの講演で語られる言葉は、民衆に「慈善を施す」「学問を教える」欺瞞を指摘し、民衆と共に学ぶ大切さを繰り返し説いている。
政治としての医師の役目とは、「助ける」事ではなく、「共に病苦と闘う」事であると、ゲバラは語る。
共に闘おうとしない者は、その記録の信憑性を疑ったり、人々の実情を知ろうとせずに「正しさ」を説くのだろう。
見聞きする実体験の大切さをエルネスト・チェ・ゲバラは信じ続けたのだろう。
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