和解勧告後の初めてのB型肝炎訴訟公判が開かれ、傍聴しに行ってきた。
傍聴人希望が和解勧告後初めてだったためか、法廷に入りきらないほど多く、開廷ぎりぎりに行ったため、僕も法廷には入れず、支援の弁護団の人がプリントした今日の意見陳述書を待合室で読みふけっていた。
待合室には弁護士の授業を受けている法学部の学生たちがおり、公判法廷の支援の人たち用に用意された傍聴席に交替で聴きに入っているようで、あわただしく出入りしていた。
プリントされた意見陳述書には「国が悪くても訴訟を起こさなければ、国は動いてくれないのですか。」と語る原告の陳述が書き記されており、今まで意見陳述を行った方達の証言が繰り返し述べられていた。29歳の若さで、肝硬変になり、何の補償もないまま、働き続けるしかない人、予防接種で感染させられた身で、息子さんも母子感染された人、抗ウイルス剤の副作用の危険性から子供を持つ選択を断念された人、性感染するのじゃないかと遠回しに酷い事を同僚に言われた人、医療機関で、食器による感染があるのではと嫌疑かけられ、サインペンで赤丸をマークされた人、働き続ける事もままならず、職をなくし、苦しい生活を強いられた上に、高額な医療費を負担し続けなければならない人、そんな人たちの事を語り続ける意見陳述の後には、B型肝炎訴訟の争点を弁護士がまとめた弁論が載せられていた。
1988年まで6歳未満の予防接種を受けられた方達に注射筒、注射針の使い廻しが行われており、B型肝炎のキャリア(ウイルスが潜伏し発症していない状況)の方がいるという事実があるのに、B型肝炎のキャリアである人の数を国は把握していない状況であるのに、予防接種を受けられたパーセンテージが低い事を盾に、国の落ち度を隠そうとする国側の理論は0歳児から6歳になるまでそう何度も予防接種は受けないはずであり、一、二度接種される人は大半を占めるであろう事を提示する原告側の理論の正当性の方が頷けるし、母子感染でない証拠として求められる母子手帳の紛失や父子感染まで疑う国側の論理は患者救済ではなく、患者選別を行い、救済額を減らそうとする意図が見え見えに感じる。
国が和解策を案じているうちに肝炎患者たちの身体はむしばまれていく。
それが先進国の中で類を見ない数のB型肝炎患者がいる国の実態なのだろう。
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