「子供は死んではいけない人たちなんだ」
がんを告知された子どもたちのサマーキャンプを毎年欠かすことなく続けているスマートムンストンの代表、細谷亮太医師の言葉から映画は始まった。
死と向き合わざる得ない病気も医療の発達で、10人に7人は助かる病気になって来たという。ただ、再発の危険性もあるために定期的に長いスパンで検診を受けなければならない病気でもある。
そんな子供たちも発病から数年もすれば、大人になる。
病気と向き合う人たちに、世間はテレビドラマに描かれるような悲劇性を当てはめ、同情の目を向ける。生きようとする人たちに余命を見てしまう。
がんを告知された子どもたちのサマーキャンプで、元患者の人たちはそんな偏見をあざ笑う。あざ笑うことで、生きてやるとという意思表示を示す。
支援する医師たちは、入院中子供たちが叶えられなかった「人と会う」事と「太陽と大空を満喫する」事を叶えように準備を続ける。
診察の時に問診する医師も、サマーキャンプでは子供たちの成長を喜ぶ小父さんになる。小父さんになれたことを喜ぶ医師たちは、この一年に亡くなった子供たちを思い返す。
「生きてるものは、みんないつかは死ぬんだよ。これは仕方がないんだ。でも、麻衣ちゃんも先生も、何も今すぐ死ぬわけじゃないよ。まだまだ頑張れるよ。
だから泣いてないで、どんな風によくするか、よくなったら何をしたいかな、なんて考えた方がずっといいよ」
「誰でもが死んじゃうって言ったけど先生が死んだら麻衣を治す人がいなくなっちゃう。パパも、ママも、お兄ちゃんも、それからおばあちゃんも死んじゃダメ!」
「死んじゃダメ!」の押し問答は何で生きているかの押し問答になる。
上映会の会場には映画に出ていた元患者さんの姿もあった。
ここにいること、それが生きることなんだよね。
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