2011-09-23

海洋天堂 OCEAN HEAVEN

肝ガンに冒され、余命僅かの父親が自閉の我が子に残してやれる事は。障がい者ものとしてはよくあるお話をお涙頂戴に流されずに、じっくり描きあげた映画。

わが子を思う父親のジェット・リーもよいけど、息子役のウェン・ジャンくんの演技は凄かった。

手抜きなしに障がい者を演じた映画といえば、韓国映画の「オアシス」の脳性麻痺の女の子を演じたムン・ソリを思い出すけど、この「海洋天堂」のウェン・ジャンくんの演技も自閉の特徴をよく押さえている。

中国の成人障がい者の自活生活の問題がどうなのかよく判らないけど、映画を観る限りではまだまだ施設依存が強いようで、結局息子が引き取られた新しい施設というのは、日本におけるグループホームに近いものなのかなと思った。

重度障がいで、親ひとり子ひとりの環境では、背負い込むか、施設に預けるかの選択しかないのは日本も同じだけど、中国は成人障がい者の受け入れ先がどうも考えられていないみたいで、このような映画が出来たのかなと感じた。

障がい持った人たちは廻りのサポートがあって生きられるし、普通に暮らす人は周りの人の存在意義を障害持つ人から理解する。

余命僅かの父親は人頼みには出来ない身の回りの事、食事の事、金銭管理の事をしつこく我が子に教える。

それはいわゆる障がい者の自活という事だろう。

その上で人に頼り生きていくだろう息子のラストに「頑張れよ」と声を掛けたくなる。

久石譲の音楽はうるさく感じたけれど。

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