2013-03-14

アルゴ Argo

公開された時、アメリカのイラン・バッシングのプロパガンダ映画だろうと観なかった作品が今年度アカデミー賞の作品賞になったというので、ちょうど名画座で公開されているから観に行った。

冒頭語られるアメリカとイランの政治的な駆け引きの歴史の後、1979年のイランアメリカ大使館人質事件を題材にしたこの物語は始まる。

CIAによる人質救出劇の真相はその後18年間機密情報として封印されていたもので、その公表から更に15年を経て作られたこの映画は人質奪還劇としては見せる映画になっているけど、冒頭語られる暴君でもあったパフラヴィー元国王の米国亡命から始まるイラン民衆の元国王の引き渡し抗議のその後は描かれていない。

ゲスの勘ぐりを入れると、偽情報でイラクというひとつの国を滅ぼしたCIAの名誉回復と宿敵イランへの牽制としてこの映画は作られたんじゃないだろうか?

制作側の中立性をアピールするために冒頭のアメリカとイランの歴史が入れられたような気もするし。

米国民が救出されればそれでよしの単純思考の裏には、影の首謀国として世界各地で軍事クーデターを引き起こし、民衆を虐殺した9.11に繋がる米国の歴史がある。

福島第一原発事故の際、日本政府は国民よりも先に米国に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータが渡されたというのも米国ににらまれたくないという思いからかも?

政策失敗しても米国に逃げ込め、怒る国民から米国民を守る話としてみれば、あのスリルもしらけると思うんだけど、どうだろう?

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