2008-08-02

スターティング・フロム・スクラッチ in ロッテルダム Starting from Scratch in Rotterdam

月が変わり、8月。今年の夏はそれなりに暑くなったりしたけれども、どうも朝晩と昼の気温差が大きいような気がして変な感じがする。

先日、友達が主催した、今では存続の危機が語られている8ミリ、16ミリの上映会が、昔、映画館として使われ、今は各種イベント会場として再利用されているらしいところで行われたので、観に行ってきた。

建物の四階にあるそのスペースに行く階段はこんなに急だったかなというほど急で、自分の足腰の衰えを変なところで実感したりもしたけれども。

映写機のリールの回る音と、壁なのか、スクリーンなのか判然としない場所に写し出される映像、隣の人との距離を自在に調整可能だけれども、長く座っているとお尻が痛くなるパイプ椅子という一種ノスタルジックな雰囲気の中、上映会は行われた。

8ミリ映画の文化はコダックが主流の海外とは異なり、日本では富士フィルムが根強いシェアがあり、重ね撮りなどの表現法が手軽に出来き、海外だと16ミリにブローアップさせ、作品化するのに対し、8ミリの素材を生かした表現技法をそのまま作品として成立させる「日本文化」があるそうだ。この上映会も通常、DVやDVDとして上映するケースの多い海外の映画祭の中で、オリジナルの上映にこだわる今年の1月から2月にかけて行われたオランダのロッテルダム映画祭で上映されたプログラムという。

コマ落としや重ね撮り、フィルムの重ね合わせなど、僕自身、制作分野には詳しくなく、技術的には把握出来ていないけれども、デジタル文化にはない生のフィルムの映像文化を久々楽しめた。

上映後、語られたフィルム文化の面白みはデジタルの人気に押され、撮影機の生産中止、フィルム生産の減少により、利用者減で消えゆく文化でもあるらしく、主催の友人はフィルム文化を存続させる会の活動の一環としてこのイベントを展開しているらしい。

もしかすると、今この時が古今の多様な表現技法を取り組む作品群が観ようと思えば見られる唯一の時なのかも知れない。

フィルムの中に動めく傷の向こうにある明かりを求め、暗闇の中、数時間の共有。

今、失われていくものは、闇と明かりの境なのかも知れない。

スターティング・フロム・スクラッチ in ロッテルダムの日本における上映会は4月の東京を皮切りに、福岡、札幌と上映会が行われ、大阪での上映も決まっていると聴く。

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