2010-07-30

ユニバーサル・デザイン Universal design

ゼロックスセミナーで、「ユニバーサル・デザイン」を取り上げるというので、聴きに行ってきた。

FONTWORKSの方のお話だったので、「ユニバーサル・デザイン」の本筋のお話は聞けないかなと思っていたら、本筋をしっかり押さえた話だったので、非常に感銘を覚えた。

このセミナーでは、ゼロックスと云うこともあり、印刷の「ユニバーサル・デザイン」の話だったけれども、色覚の「カラー・ユニバーサル・デザイン」の話や字体の大きさでの印象度の違い、遠くからでも濁音と半濁音の区別が出来る交通案内板の話など、どんな状況下に置かれても情報が判る工夫のお話は大変参考になった。

障がいを持った人が社会参加していく上でのバリアを取り除く「バリアフリー」から、どんな境遇の人たちも共に暮らせる「ノーマライゼーション」、病気療養の方や障がいを持った方達の介助用品として開発されたウォシュレットシャンプーリンスの区別をつきやすくする工夫が一般商品として流通している「共用品」、そして、誰もが使えるデザインの「ユニバーサル・デザイン」に利用可能にするノウハウの「アクセシビリティ」と、棲み分けの時代から共存の時代への模索が、サービス業界でなされていることに嬉しく思う。

別なセミナーで聴かされた日本の福祉、教育の場では、フランスミッテラン大統領が移民対策として掲げた性別、障がい、民族の垣根を取り払う「ソーシャルインクルージョン」を、当事者同士の垣根をなくすものと解釈し、実践されているという本末転倒ぶりに唖然としてしまうのだけど。

日本人もアメリカに行けば、言語障がい者。そんな発想を出来ない部落社会で、「ユニバーサル・デザイン」はどのように浸透していくのだろうか。

国民の3人にひとりが加齢障がい者になる日も間近なのだから。

2010-07-26

経過良好 Passage is excellent.

今日は2ヶ月ぶりの肝炎の定期検診の日。

超音波で肝臓の状態をみる検査もあり、少し早めに病院に行く。

超音波検診は看護婦さんが滑りよくするためのゼリーを塗った機械をお腹に当てて、様々な角度から、肝臓廻りを超音波で映し出し、その度毎に、「息を吸って」とか、「少し吐いて、止めて」とか指示を出し、状況を調べていく。

検診後、主治医の状況報告では、血液の値も、超音波の画像もすべて順調とかで、ダメージあった肝臓も回復しており、脂肪肝にもなっていないらしい。

抗ウイルス剤の投薬は続くけれども、定期検診のスパンはまた長くなり、次回は3ヶ月後。

B型肝炎は揺り戻しが怖いから、定期的な検診を聴ける事が安心に繋がるけど、そのスパンが長くなっていくのは看られるこちらとしても少し安堵感がある。

「経過良好」と聴く毎に季節が巡りゆく時の流れが心地よい。

2010-07-23

見学 Visit

ふとした話し合いから、子供の頃、体育の授業でいつも見学に廻されていた想い出が蘇ってきた。

利き手が不自由であるがために、上肢を使う鉄棒や跳び箱、野球、バレーボールなどではいつも見学に廻されていた。

出来ないのだから仕方ない。そう割り切っても、愉しげに運動をする同級生たちが羨ましかった。

出来ないのだから出来るようになりたいと、半開きにしかならない利き手の指を伸ばすリハビリを見学中にしたこともあったけど、脳性麻痺後遺症である利き手は頑なに指を伸ばすことを拒み続けた。

やけどで片手の指が使えなくなった野口英世の伝記を読み、憧れたこともあった。

母に頼んで、病院の先生に手術で利き手の指が開くようにならないか聴いたこともある。結果は、開くようにはなるけど、閉じなくなるよ。という答えだった。

握ったままでも少しは指を使える手が、開いたまま閉じなくなる。それは子供心にも恐怖だった。

体育の時間の見学は続いた。

大人になり、同じ学校だった奴に、そいつも何かで見学に廻された時に、いつも見学組の僕が先生からかばわれていたことを覚えていると聴かされた。

僕もまた別な見方をすれば、特別扱いだったのだろう。

そんな僕の愉しい体育の時間の記憶は上肢を使わなくてよいサッカーであり、徒競走だった。

みんなと一緒に動きたい。その気持ちが伝わったのか、学校時代、サッカーをしていた友人とよく遊んだ。

見学組の寂しさ、悔しさから得たものを大切にしたい。

2010-07-19

夏の虫 Summer insects

「飛んで火に入る夏の虫」の文句の通り、うちの作業部屋には夏の夜になると、羽根蟻が大量に外から入ってきて、蛍光灯に群がり、その熱にやられて、蛍光灯の下で作業するパソコンキーボードの上に、ぽとりぽとりと落ちてくる。

けれども、しかし、今年の夏は例年にない蒸し暑さなのに、一匹の羽根蟻も飛んでこない。

これは何かの前兆なのか、家の廻りの兵隊蟻たちは変わりなく動き回っているのだけれど。

豪雨のニュースが気に掛かる。

2010-07-16

コロンブス 永遠の海 Cristo'va~o Colombo - O Enigma

「"郷愁"という言葉 この言葉を紡ぎ出した人よ
初めて呟いたその時 涙を流したことでしょう」

第二次大戦が終わり、ポルトガルからアメリカに渡った若者は大航海時代の偉人に夢を馳せ、今日に至るまでその偉人の過ごした土地を歩き回る。

100歳を超えてなお、世界で最高齢の現役映画監督であるポルトガルの巨匠 マノエル・デ・オリヴェイラが描く映画は忘れ去られた国の誇りを語りつつ、大航海を余儀なくされた人々へのレクイエムであるかのように穏やかな映画であった。

コロンブスの過ごした土地を尋ね歩く若者の背景には、戦後という名の戦争があり、年老いて再び訪れたニューヨークは9.13の傷跡がある。

彷徨う者の前にある海はどこでも変わらず、波打ち寄せる。

失われた時を求めて、人は"郷愁"に涙するのだろう。

2010-07-15

みんなのウェブ Everyone's web

JIS規格ウェブサイト制作の障害者、高齢者への配慮の指針を示したIS X8341-3が近々改訂されるのを知り、どのような改正がなされるのか、このところ調べている。

5年前に作られたものが、「望ましい」という指導であったのに対し、今回の改正は提供側がどのような配慮をしたか、明確に示し、アクセシブル(利用可能)であるか、第三者にも判断できる基準を示しなさいとする一歩踏み込んだものであるとのこと。

「障害者、高齢者への配慮」を謳った前回のものから、改正では「みんなが使えるウェブ」を提起しており、この5年間、障害者、高齢者への配慮として、付加価値をアクセシブルと考える流れがアクセシブルなのではなく、サイトを作る上でアクセシブルな設計に心がけることが「障害者、高齢者への配慮」でもあるといった趣旨の元、改正が行われたようである。

僕がウェブ・アクセシビリティを知り、覚えたのが「みんなのウェブ」の制作に関わった時で、久々サイトをのぞくと、その頃のことが思い返されてくる。

ウェブ・アクセシビリティのJIS規格は拘束力なく、無意味との批判がいわれていたけれども、今回の改正により、JIS規格に合致する、しないが明確に示されれば、無法化されたインターネットのサイト制作も少しはよくなるのじゃないかと思われるし、そうなることで、長年、情報格差に我慢し続けてきた障害者、高齢者の利便性が高くなることを期待したい。

インターネットは「みんなのウェブ」なのだから。

2010-07-12

宝くじ一枚 One lottery

サマージャンボ宝くじが発売され、いつもながらの浅き夢でも買おうかと思いつつ、何か面白い買い方はないかなと考え、一日一枚、いろんな発売所で買うことを試している。

駅のキオスク、街角の宝くじ売り場と行く先々で「宝くじ一枚」というのは気恥ずかしいけど、売り場の小母ちゃんも面倒な顔も見せずに「宝くじ一枚」に微笑みながら、応対してくれる。

昨日の朝などは売り場の小母ちゃんの口癖なのだろう、「連番?ばら?」と聴かれ、こちらが笑い返すと、そうそう一枚だよねという顔で、宝くじ一枚、渡してくれた。

見栄張ることなく、けれども夢が欲しい、そんなありのままがいいんじゃないかと思うこの頃。

宝くじ一枚、短冊のように財布にしまう。

2010-07-11

祭囃子が聞こえる The festival musical band is heard.

今年もまた、祭囃子聞こえる季節になってきた。

札幌の街の繁華街通りの商店街が繰り広げる祭りにはあいにくの曇天ながらも、神輿が出て、活気づく。

祭りの着替え所になっているうちの職場に、今年もまた、この祭りに欠かさず参加している知り合いのご夫婦が顔を出し、七夕ならぬ一年に一度の顔合わせを今年も楽しめた。

互いの近況を語り合い、新しい名刺を手渡すと、奥さんが大事そうに手荷物の中に仕舞い込み、変わりないかいと聴いてくる。

ちょっぴり甘えて、昨年末にB型肝炎を患ったことを話をし、心配してくれる優しい言葉に安堵し、祭りに向かうご夫妻を見送った。

仕事中、聞こえ続けていた祭囃子も、仕事帰りには聞こえなくなり、繁華街の通りは後始末をする人たちの姿が見受けられ、そんな道端で、以前職場に仕事に来ていた奴とばったり再会し、立ち話をする。

そばで祭りの後かたづけをする人をふと見ると、知り合いのお兄ちゃん

祭りは人と人を再会させるのだろうか。

やがて、路地は車に開放され、選挙戦最終日、もうひとつの祭囃子を聴かせ始める。

この祭りは人と人を再会させるのだろうか。

2010-07-09

Moment or Chronicle

映画「風のかたち」の上映会で売られていた雑誌「Moment or Chronicle」を読み終えた。

「Moment or Chronicle」モメントまたはクロニクル瞬間あるいは持続性。

特集に映画「風のかたち」が取り上げられており、その他柳田邦夫氏が「絵本」の読み聞かせが親子の絆、人と人とのコミニケーションの元なのじゃないかと語りかけるなど、今の時代に失われようとしている瞬間あるいは持続性で一冊の雑誌が成り立っている。

「同じ所にとどまろうと思うなら、全速力で走り続けなさい」

鏡の国のアリス」に由来するといわれる進化論を引用して語られる「試論 幸福の証券化の可能性」は「上がるか、下がるか」のみに興じる個人トレーダーたちのマネーゲームが、幸福というベクトルに向かう幸福の証券化の可能性を試論しているけれども、「上がるか、下がるか」を幸福とはき違えている今日、新たな幸福論が必要なのだろうなと思ったりする。

この本の中で、やはり白眉は映画「風のかたち」のスマートムンストンの医師たちの語りで、小児がんの子供たちの過去、現在、未来を語る姿は何にもまして、今の幸福論だと感じられる。

「泣けなくなったら医者はやめるべきだ」と語る細谷亮太医師は一番最初に看取った患者さんが亡くなった時、助かる見込みもないのに汗だくになって心臓マッサージをし、立ち会っていた医師が止めた後、放心状態で病室に立ち尽くしていたという。それを父兄の方々は救いと感じられたらしいけど、細谷医師は患者さんを救いたい一心で、父兄の姿も見えていなかったと語る。

がんの治療の目標のひとつとして、クオリティ・オブ・ライフ(生存の質、命の輝き)を語る月本一郎医師は、助からない時代から助かる今に至るまでの小児がん治療の医師たちの取り組みを語り、放射線抗ガン剤の治療成果を国境を越えた情報交換としてのグループ・スタディが集学的治療になったと語り、病名告知という10年前のテーマで今日、悩んでおられる地方の医師たちへ映画「風のかたち」を観るようにと、情報格差の今日の状況を気にかけられている。

「頑張れ、頑張れ」だけじゃダメだ、治すにはこれだけ頑張らなきゃならないという具体的な話をすることが子供たちには大切であり、それだから頑張れる事なんだ、と語る石本浩市医師は、小児がんとは生まれてから15歳までに発生するがんの総称と語る。

大人のがんは臓器の管腔に出来るがんが多く、生活習慣からなるのに対し、小児がんは白血病肉腫腫瘍などのがんであり、細胞分裂が活発な子供には抗ガン剤は効きやすいとのことで、成長期でもあるから、脳が出来上がる3歳前後や思春期に過度な治療を行わなければならない時、現れる障がいよりも命を救う事を重視する選択がなされるという。

「Moment or Chronicle」モメントまたはクロニクル。瞬間あるいは持続性。

そのどちらもを考えなければならない事を思い出させてくれる一冊もまた「風のかたち」のムーブメントなのだろう。

2010-07-06

暴力団対策法 Anti-Gangs Measures Law

先日、スーパー銭湯に入りに来ている年配のお客さんが、脱衣所に貼られた「暴力団対策法で禁止されている21の行為」のポスターを読み、「これって暴力団限定しているけど、誰でもやりそうなことばかりだよなぁ」とつぶやいていた。

「暴力団対策法」も「暴力対策法」に改めた方がいい時代なのかも知れませんなぁ。

  • 口止め料を要求する行為
  • 寄付金や賛助金等を要求する行為
  • 下請参入等を要求する行為
  • 縄張り内の営業者に対して「みかじめ料」を要求する行為
  • 縄張り内の営業者に対して用心棒代等を要求する行為
  • 利息制限法に違反する高金利の債権を取り立てる行為
  • 不当な方法で債権を取り立てる行為
  • 借金の免除や借金返済の猶予を要求する行為
  • 不当な貸付け及び手形の割引を要求する行為
  • 不当な信用取引を要求する行為
  • 不当な株式の買取り等を要求する行為
  • 不当な地上げをする行為
  • 土地・家屋の明渡し料等を不当に要求する行為
  • 交通事故等の示談に介入し、金品等を要求する行為
  • 商品の欠陥等を口実に損害賠償等を要求する行為
  • 許認可等をすることを要求する行為
  • 許認可等をしないことを要求する行為
  • 公共工事入札に参加させることを要求する行為
  • 公共工事の入札に参加させないことを要求する行為
  • 公共工事の契約の相手方としないことを要求する行為
  • 公共工事の契約の相手に対する指導等を要求する行為

2010-07-03

哀愁的東京 sorrow of Tokyo

絵本を書けなくなった絵本作家が喰うために書き続ける週刊誌のフリーライターとして、巡り会う様々な過去を背負った人たちの物語。

輝かしき過去と戻れない今とどうなるか判らない未来と。

書けなくなったきっかけの絵本を振り返る絵本作家は過去を背負った人たちとほんの少し痛みを分かち合う。

「哀愁的東京」華やかさの裏に隠れた素顔たちは華やかな分だけ老いている。

その「老い」を描こうと思う絵本作家は果たして新作を書けたのだろうか。

「哀愁的東京」を知ったところで「老い」は止められないのだろうけれども。

知らないふりのかなしみ笑いよりはいいのかもと思う。

2010-07-02

お役所詣で Public office visit

冷夏の予想はどこへやら、連日の暑さに少しばて気味の夏、この頃。

なんか今年はお役所詣での回数が多いようで、例年の障がい者助成の手続きの他に、特定疾患の手続きもあるからなのだろう。

今日は障害年金の現況届けの提出をしに出かけていった。いつもは切手を貼って、ポスト投函で済ますところなのだけど、参議院選挙期日前投票もしなきゃならないから、お役所詣でと相成った。

障害年金の現況届けは簡単に云えば、生きてるから年金継続頼みます、とでもいうようなもので、毎年7月に送られてくる。母の老齢年金の現況届けは誕生月の来月なので、2ヶ月続けての手続きになる。

参議院選挙の投票用の葉書公示日を過ぎても届かなかったから、どうしたんだろうと思いもしたけど、まぁ、現況届けが届く頃には来るだろうと思っており、その通り、相前後して届いたからいいのだけれど、他の札幌市内の各区に住む友人たちは届いているという話を聴いていたから、またまた住んでいる区への行政不信が募っていたところ。

足取り重く、交通の便の悪い区役所に行くためにバス停に行くと運良くバスが来て、区役所でもスムースに事が進み、帰りのバスもすぐに来た。

度重なるお役所詣では嫌だけど、これだけスムースならまぁいいかと、好天の休日、その後、街に出かけていきました。

お役所詣での簡略化はもっともっと考えて欲しいけれども。