木下惠介の生誕100年記念の映画として作られた作品で、『河童のクゥと夏休み』など数々のアニメ作品で知られる原恵一監督が初めて実写作品に挑戦したもの。
戦意高揚の国策映画として作られた「陸軍」のラストで描かれた母の姿が女々しく戦意喪失させるとして、監督業を干された木下惠介監督が脳梗塞で倒れた母を疎開させるために歩いた道。
映画はただそれだけの話を丹念に描く。
情愛を描けないこの国は滅びる。
木下恵介の思いが戦後の名作の数々を作ったとその名場面を映しながら思わせる演出はうまい。
日本の映画監督の物語を描いた作品って、日本映画の父、マキノ雅弘とこの木下恵介くらいじゃないだろうか?
満州国の最期に付き合い、国のためというのがどれほど馬鹿馬鹿しいかを知った内田吐夢。広島で被爆し、映画監督として戦争加害に苦しんだ田坂具隆。著作権と無縁な日本の映画監督にもっとスポット当たって欲しいと切に思う。
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