大好きなブラジルのアーティスト、カエターノ・ヴェローゾが出演していると知り、観たく、仕事帰り、寝ちゃわないか心配ながら観に行った。
キューバの偉大なピアニスト、ベボ・バルデスさんがアフリカ系黒人のルーツを求め、ブラジル音楽発祥の地、バイーア州の州都サルヴァドールを訪ねるドキュメンタリーはブラジル音楽ファンには涙もの。
憧れの土地サルヴァドールの街並み、歌うボサノヴァ外交官ヴィニシウス・モレイラの銅像、最初に訪れた教会で歌われるハーモニー。全てがブラジル音楽の宝。
映画はサルヴァドールの街でコミュニティ「カンデアル」を営む歌手のカルリーニョス・ブラウンの実践が紹介されていく。
スラムを尊厳ある生き方の出来る場所に。米国の傀儡であった軍事政権でひどくなった貧困地区の復興に私財を投じるカルリーニョス・ブラウンの考えはかつて年寄り達が音楽を教えて子供らを後継者に育てていくサンバ学校といわれたコミュニティーの継承だろう。
友情出演する、かつてトロピカリズモ運動を起こしたカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルのブラジル音楽の素晴らしさを語る場面も感動もので、バイーアからブラックミュージックは広まり、今もなお息づく音楽が至る場面で聴ける。
コミュニティに暮らす子供らが語る「市は街中の木を切ろうとするが木を切れば暑さ除けがなくなる。植物も引き抜けば根から水が流れる。それは植物の涙だ」とブラジル人らしい言い回しで自然の大切さを教えてくれる。
今、社会変革は政治に押し流されない自分たちのマイノリティ作りが語られ、アイデンティティ同士の連帯が重要とされる。その実践例としてもこの「カンデアルの奇跡」は素晴らしい。
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