生田斗真がトランスジェンダー役を演じていることで話題のようで、久々の荻上直子監督作品。ちょっと期待して観る。
トランスジェンダーの問題って、ようは本人が自分のありのままの性別で暮らせるようにという話で、偏見や差別とどう向き合うかはその根本的な性別の問題を押さえないと駄目だと思う。
この映画はトランスジェンダーのリンコと育児放棄された少女トモを中心に描かれ、その周りにいる様々な性の解釈が描かれているけど、つまりは人間みんなトランスジェンダー何だと思う。
身体の性、心の性、対象としての性、社会的性などなど単純に二分法で語られる性の多様性は少なくとも60種類に分けられるらしく、更に個々人の性癖をあわせて考えれば、ひとりひとりの性があるというのは当たり前の話で、身体と心の性不一致だけ取り上げると問題を見失う。
映画は意図的かどうかは判らないけど、様々な性に対する見方が出て来て、それが差別や偏見という形で波風立てる。
少女トモにも「女になる」話が何度も振られ、子どもとしてではなく性を自覚する人間として話が進むのは心地よい。
そして、一番いいなと思ったのは田中美佐子演じるリンコの母で、中学生だったリンコの性をすんなり受け止める姿に、僕の実母をなんか重ね合わせちゃった。
未婚の母で僕を身ごもり、実家に帰った実母もある意味、トランスジェンダーだったのかも知れない。
社会的な制約を受けないとされるトランスジェンダーの認知って、トランスジェンダーを受け入れられない保守的な立場のトランスジェンダー問題もはらんでいるのであって、少女トモで終わる映画はどこまでトランスジェンダーの問題を認識しているのか不確かな形だったから、少し残念な気がした。
生田斗真の女装は完璧ながら、足のすね毛が残っているのはトランスジェンダーとしてはおかしい気もするし、結局この映画はどう解釈しているのか判らないのも足のすね毛に無神経だからなんだろうと思う。
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