2007-03-16

グル・ダッド Guru Dutt

グル・ダッド傑作選DVD-BOX、出るんだなぁ。

僕も1988年に開催された「大インド映画祭」でグル・ダッド映画に衝撃を受けたひとり。

札幌では代表作の『渇き』のみの上映だったけど、映画の美しさも素晴らしかったけど、それ以上に奥さんと愛人の板挟みに苦しんだグル・ダッドに思い馳せる。

インド映画はオペレッタといわれるミュージカル形式の映画が好まれており、俳優の演技にあわせ、口パクにあわせ、歌うプレーバックシンガーがいて、グル・ダッド映画では奥さんのギーター・ダットが主演女優のプレーバックを務めている。

『渇き』で主役の娼婦を演じた女優さんとグル・ダッドは恋に落ち、この映画のストーリーのような結末を迎える。

不倫、自殺がタブーな国において、その罪を犯してなお、未だに語り継がれるグル・ダッドの偉業はもしかすると今のインド・カースト社会の締め付けからの解放に繋がるのかも知れない。

残されたギーター・ダットの心境は複雑だろうけど、殊更、悲劇面のみを捉え、社会正義を訴えるよりは、男と女の化かし合いに何の枷も作らない方が粋なようにも思える。

今回、BOXに収録される『55年夫婦』はインドにて離婚が法的に認められるようになった事を祝うソフィスケート・コメディで、村社会からの解放を意味しているようでもあるし。

数年前、国際的な評価を得たインド映画『モンスーン・ウェディング』に「転ぶ事を恐れて、立ち上がらないのは臆病者」なんていうセリフがあるけれど、心狭いナショナリズムが寂しい地球人を増やす事にもなっている今、是非、見て欲しい映画でもある。

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