若松孝二って、この程度の監督だったっけ?というのが、正直の感想。
男と女。侵略と虐待。二分法で貫かれた戦時下のドラマは、「芋虫」になり、軍神様になった兵隊とその妻の家庭において、その時代を描く。
かつて、ベットと男と女があればドラマは作れると、ピンク映画(今でいうアダルト映画)を作った若松孝二らしいといえば、らしいけど、その時代の洞察力はピンク映画でゲリラ戦法を撮り続けていた頃から比べると、ずいぶん平板な物になっていた。
「芋虫」になった兵隊は戦意を消失させるから、家に帰さず、病院で始末しろ!と描いた増村保造監督の「赤い天使」の生きながらえたは兵士の恥と描かれたのに対し、ここでは軍神様であるし、殺し、人肉を喰らい、戦後、朝鮮戦争の軍需景気で社長になった奴に、「お前、仲間を殺して、喰ったろう」と責め続ける原一男監督の「ゆきゆきて神軍」に比べても随分ナイーブな物語。敗戦を迎えて、さぁ、これから軍神様が「芋虫」と蔑まれる日本の差別が始まるのかなと思いきや、あっけなくエンドロールはないっていうの。
若松孝二って、強い女が好きで、傷痍軍人のしたたかさには興味がないんだろうなぁと思いもした。
「これが戦争だ!」莫迦云え、こんなの戦争じゃないっちゅうの。元ちとせの「死んだ女の子」が浮いて浮いて聞こえてきたのそんな不満からなのだろうなぁ。
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