2010-09-09

口減らし Household economy decreasing

若い人たちとお金の話をする機会があり、話し合い、借金の苦しさを語り合ったのだけれども、お金の本当の怖さが判っているのか、ふと疑問に思い、余計なことを云ってしまった。

僕自身、お金の本当の怖さを知っているかと云えば、知らないと思うのだけど、生みの母、育ての母、共に口減らしとして、家を出て、苦労した話を聴かされているからだろうか、お金の本当の怖さだけは余計なことを云いたくなる。

「口減らし」「食い扶持減らし」兄弟の多い家庭で、食べるものもなく貧しかった時代に、奉公に出されたり、女郎さんとして売られたりした子供の事を「口減らし」「食い扶持減らし」と云ったそうである。

生みの母は敗戦間もなく、まだ年端もいかない甥子、姪子が沢山いた本家を出て、札幌に出て来て、親戚の飲み屋幼馴染みスナックなどで働き、本家で年老いた祖父に仕送りを続けたそうで、物のない時代に女盛りだった実母はお店で知り合ったお客と恋仲に落ちては妊娠したけれども、所帯を持つことも出来ず、子供を産んだとしても育てる糧もなく、田舎の祖父も気がかりで、子供を堕ろし、田舎の祖父に仕送りを続けたという。

そんな生活を続けていた実母も、30歳を超え、産婦人科の医師から「これ以上堕ろすと子供は授かれないぞ」といわれ、僕を産んだのだという。

養母の方は、兄弟が多く、「口減らし」「食い扶持減らし」として、札幌の親戚に預けられたそうで、多感な年頃、預けられた先の小父さんは気遣ってくれたものの、おばさんと合わなく、何度となく死のうとしたという。

実母、養母、共に「口減らし」「食い扶持減らし」をした親は心の底から詫びていたらしく、共にそんな親に対し、離ればなれで出来なかった親孝行を出来る限りしている姿は幼心ながら僕は見てきている。

誰を恨むことも出来ない、お金がない辛さは愛しい人と離ればなれで暮らさなければならない寂しさであると、実母、養母、それぞれの話を思い出し、思う。

飽食で、デフレの時代、お金の本当の怖さなど判らないのが当たり前だと思うけど、それなら、今ある幸福をもっと大事にして欲しい。そんなことをふと思ってしまう。

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