色は匂えど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見し 酔ひもせず(いろは歌)
安直に考えたがる世評と裏腹に、この映画の描く世界は深い。
何故、殺したか。何故、殺されたか。だけが物語ではなく、何故、殺してしまったか、何故、殺されてしまったか。も物語る。
世の中、人間同士一対一の場面なんかあり得ない。それなのに、一対一の場面があり得るかの如く、語り、やり過ごす世評もまた「悪人」なのだろう。
強がり、見栄張り、生きる人間があたかも幸福ではなく、強がれず、見栄も張れず、生きる人間が幸福であろうとするように、この映画は苦しみもがく人間を追いかける。
妻夫木演じる犯人が逃避行するあたりにもたつきはあるものの、映画はそのテーマを観る者に考えさせる。
樹木希林、柄本明の味のある演技と深津絵里の寂しいOLが心に残る。
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