劇場映画第一作の「es」が面白かったオリバー・ヒルシュビーゲル監督の新作。
「ヒトラー 最期の12日間」に続くナチスもので、ナチスドイツがオーストラリアに接近していった1939年11月8日に起こったヒトラー暗殺未遂事件の犯人の物語。
ナチスの歴史に詳しくなければ判りにくい物語ながら、犯人の心理的な描写のうまさは「es」を作った監督だけあるなと思う。
ヒトラー暗殺未遂はナチスの暴走が明確化してから多発しているのに対して、このミュンヘンの暗殺未遂事件が何故起きたのかはヨーロッパでもなかなか語られなかったようで、国家社会主義に対する危機感をいち早く感じた田舎の家具職人ゲオルク・エルザーの単独犯行はナチス統合に浮かれるオーストリアでも理解されなく、ナチスが黒幕捜しに躍起になったのもそのためなのだろう。
オリバー・ヒルシュビーゲルの描き方は細かな説明を抜きに、心理描写として過去の回想を重ねるという手法をとったため、僕はそういう背後関係はよく判らなくても楽しめた。
ナチス敗北の間際まで生き延びたゲオルク・エルザーはその戦火をどういう心境で見続けていたのだろう。
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