重松清の原作の映画化。「地雷を踏んだらサヨウナラ」の五十嵐匠監督によるものと知り、観に行く。
14歳で容赦ないいじめにあい、自殺した子。その子の思いを背負わされたいじめを見ていて止めなかった子たち。
そのいじめの描写も容赦なく、いじめられていることを親に隠し続け、笑う子の笑顔が印象的。
「抵抗しないからいじめる」といじめに走る子の背景は描かれないけど、抵抗しないいじめられっ子よりいじめをやめられないいじめっ子の弱さを感じる。
抵抗しないいじめられっ子が書き残した遺書から親友と思っていなかった奴が親友と思われ、慕われて欲しくないと思っていた女の子が慕われていたと思われる。死んだ子に背負わされた思いがドラマの軸となるけど、小出恵介、木村文乃が中学生をやるのはいくら何でもきついけど、それから20年間のドラマとなるとまぁしかたないか思う。
首をくくった柿の木の写し方が印象的で、子どもに先立たれた両親を演じた永瀬正敏、富田靖子がいい味を出している。
何重に重なった社会のいじめの一端もさりげなく描いていて、いじめた子、いじめを見ていて止めなかった子を責めるマスメディア、それに便乗する嫌がらせがいじめ社会の問題の根深さを感じさせる。
残された人たちはどう生きるのか、忘れたつもりが我が子の学校生活を気にする時にふと思い出す。そこが現代社会の問題をおざなりにした現実だろう。
いじめではないと思うけど、僕の身の回りにも若い頃、何人か自殺した友達がいた。そいつらのことを思い出す。
「罪を背負って生きるのではなく、罪と共に生きていく」
そんな台詞にそうだよなと思い、しばらくご無沙汰している重松清の小説をまた読もうかなと思ったりする。