2008-10-26

怒りをうたえ Sing anger

職場の代表より70年安保闘争の記録映画「怒りをうたえ」のビデオを貸して頂き、全3本、8時間強あるものの半ばを見終えたところ。

「インターナショナル」や「沖縄を返せ」などが歌われ、スクラム組む若者たちは激しい国家弾圧と内ゲバの末、ベトナム戦争終結とともにその闘いは敗北に終わる。

その後の安保闘争の内実に対する批判論を少しは知る身にとってはその抗議行動の嘘くささが鼻につきもする。

スローガンとして歌われた「沖縄を返せ」はこの映画が再上映された90年代に沖縄の大工哲弘さんがレコーディングし、沖縄からの「沖縄を返せ」を歌っているし、繰り返し歌われる団結の歌「友よ」は岡林信康さんの虐げられた者への歌が組合として歌われ、虐げられた者は葬り去られもした。

自民党と密約を交わしていたとされる浅沼委員長の60年安保時の死に対し、その意志を受け継ぐなどという指導側の演説の場面など観ると胸くそ悪くなってくる。

指導側と運動に関わった学生たちのギャップが今観ると痛ましいし、同じカメラマンが関わった劇映画で、後にテレビドラマ「ひとつ屋根の下」の原型となった「若者たち」のテーマである「人とどう繋がればいいのか」は今でも生き続けるテーマだろう。

同じ頃に作られた藤田敏八の「にっぽん零年」なんていうドキュメントは運動に関わった学生たちの生の声を追いかけたものだった。

岡林信康の安保当時の左翼内部の野次り合いが渦巻くライブアルバム群も今月、始めてCDで復刻され、当時の若者たちが大人たちとどうぶつかり、どう利用されていったかを知るには、いい資料が出そろったのかも知れない。

高度成長による公害、アメリカのドルショック、石油高騰などがあり、今に至る国レベルの福祉施策が確立した70年代初頭を、今の日本の「グランド・ゼロ」とする向きもあるこの時代を知る事は、経営合理化によるリストラが当たり前になる今、「俺はお前の味方だぜ」とうそぶき、生き残りをかける「渡る世間」を知る事なのかも知れない。

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