2009-02-06

酸っぱいチェリーと苦いオレンジ Sour Cherry and Bitter Orange


ハリス・アレクシーウ「酸っぱいチェリーと苦いオレンジ」
おしゃれなCDケース

雪祭り開催とともにいつの年になく少なかった雪が降りしきる一日、ちょうど休みでもあり、確定申告の用紙を提出し、あちこち廻って、映画『チェ 28歳の革命』を観に行く。

昨年の暮れに通常だと高くて買えないギリシャ歌謡のCDがネット販売で20パーセントオフのセールで売っていたので買ったのだけれど、何故か雪の降る日はこれを聴きたくなる。

今日もそのギリシャ歌謡の大御所、ハリス・アレクシーウとヨールゴス・ダラーラス、お二方のデープな歌が雪の舞う街にぴたりとはまる。(笑)

西欧のキリスト教の音階と東欧ジプシー・クレツマーのメロディ、トルコから強制帰還させられたギリシャ人たちが望郷の念を抱き、歌ったアラビックなこぶし回しと、ミクロ・アジアといわれる彼の地の歌謡は、エーゲ海の青く澄んだ開放的なイメージとは裏腹に、バルカン半島の陰影を歌い継ぐ。

ギリシャは自国文化を海外から守るかのように、音楽の輸出をほとんどしないと、CDのライナーには書かれてある。べらぼうに高いCDの発売権をスペインの業者が買い付け、いくらか安く販売しているものに背帯、ライナーをつけて、日本で発売したという。

ハリス・アレクシーウとヨールゴス・ダラーラス、お二方ともワールド・ミュージックが持て囃された1990年代に日本でもよく聴かれ、ハリス・アレクシーウは来日公演もし、ヨールゴス・ダラーラスはスティングとジョイントもした。その頃に僕もファンになった。

彼の地ギリシャの伝統的な音楽は流民の歴史を歌い継ぐもの。そんな歌は雪が風に舞う今日のような風景がよく似合うような気がする。

0 件のコメント: