今読んでいる重松清の「カカシの夏休み」に「あなたは今、幸せですか?」と幼馴染みにメールする場面があり、幼馴染みから「幸せって何ですか?」と返事が返ってくる。
その幼馴染みたちが集まった時、「お前。元気か?」と聴かれる主人公。
「幸せで、元気」「幸せだけど、元気じゃない」「幸せじゃないけど、元気」「幸せじゃなく、元気でもない」。「幸せ」と「元気」の組み合わせに想いを馳せる主人公は幸せな家庭ではあるけれど、教員としてキレる教え子の家庭環境を心配しつつ、幼馴染みのひとりを突然失い、ダムに沈んだ故郷が干ばつ天気で姿を現そうとするのを心待ちにしている。
幸せだけど、疲れている男。
亡くなった幼馴染みも同じようにダムに沈んだ故郷に想いを馳せ、逝ってしまった。
その骨箱は赤ん坊みたく軽い。
「幸せ」と「元気」はそれぞれほどほどがいいのかも知れない。それぞれ足りないと無理をし、それぞれ満ち足りても無理をする。
帰るところは今の生活にあり、帰りたいから沈んだ故郷に行くと「カカシの夏休み」は結ばれる。
今の「幸せ」と今の「元気」を人は理解せずに「幸せ」と「元気」を追い求める。
重松清は身の回りの「幸せ」と「元気」に気付いてご覧と言いたげに物語る。
どんなに世界は広くても今の「幸せ」と「元気」を守れるのは自分しかいないのだから。
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