静かな映画を観たくて、「扉をたたく人」を観に行った。
妻に先立たれた初老の大学教授がひょんな事からジャンベ(アフリンカン・ドラム)奏者のシリアの青年と知り合う。孤独な教授は青年とその連れ合いと共に生活する事で、閉ざした心を開いていく。
9.11以降、移民政策が不寛容になったアメリカで、「扉をたたく人」の交流を描いたこの作品はアメリカ合衆国の孤独な人たちの物語。
ジャンベの音色に心の交流を交わした教授と青年は、不法入国の嫌疑をかけられ、入国管理局の拘置所に収監された青年を救うべく、教授は足繁く通う。
心の交流のシンボルになったジャンベの音色はDVDでは味わいきれないとの感想に、劇場でこの映画を観たくなったのだけれども、合理主義の世の中、こんな「贅沢」も希少価値になり、インスタントにマイ・ルームで観たい時に観たいDVDを観るのがおしゃれなのだろう。
不寛容になっていく世界は、「扉をたたく人」を警戒し、やがては孤独死を迎えるのだろう。
「シリアの花嫁」で存在感ある演技を見せたイスラエルの女優、ヒアム・アッバスの名演も期待通り。アメリカの内からこういう異文化コミニケーションの映画が出て来た事に期待したい。
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