自殺、他殺、事故死、病死、災害死、死刑。どんな死に方をした人にも悼む人。その人が生前、誰に愛され、誰を愛していたのか。丹念に調べ、死んだ場所で悼むその行為に対し、疑惑を持つ人。
二人の出逢いから始まる映画は悼む人の家族の話、殺してくれといった男を殺した女の話を交えて、死に対するディスカッションが繰り広げられる。
誰に愛され、誰を愛していたのか。けれど、愛とは執着。その死の背景にこだわるとその人の死が見えなくなる。
死への尊厳が語られていく前半、悼む人の身近な人の死に気がつかなかった過去や身内を空襲で失った父、末期癌で余命わずかな母、身ごもった子を堕ろせといわれ彼氏と別れを決める妹などその語り口はうまい。
しかし、後半、疑惑を持った男の過去の話から半殺しにされ、改心するあたりから話の方向は散漫になり、死と向き合う悼むテーマも判らなくなった感がある。
東日本大震災のドキュメント「Kesennuma,Voices.」を毎年撮り続ける堤幸彦監督の気持ちの背景がなんとなく判る分、死と向き合う悼むテーマがまとまらなくなるのはなんとなく判る気もするのだけれど。
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