2015-02-02

ジミー、野を駆ける伝説 Jimmy's Hall

ケン・ローチ監督の新作は名作「麦の穂をゆらす風と同じく1930年代の内戦後のアイルランドで、保守的な教会牧師や地主たちに潰された実在の活動家ジミー・グラルトンの物語。

小さな村に集えるホールを作ろうとして、嫌がらせに遭い、渡米し、10年後。帰省したジミーにまた村人たちはホールの再開を頼まれ、米国仕込みの娯楽を村人と享受しようするが、また嫌がらせに遭う。

ここしばらくラフな映画が続いたケン・ローチ監督作の久々の硬派的な作品は伝統の保持を主張して、外来の娯楽を排除し、抑圧された世界を保持しようとする権力に抵抗する村人の物語。

イギリスとの闘いから親英派と独立派に分断されたアイルランドの内戦の対立軸を娯楽への弾圧という形で見せるケン・ローチの話法は健在。

娯楽世界に世襲制を持ち込み、保守社会を維持しようした日本にも似たアイルランドの悲劇はどんどん便利になり、鈍感になっていく今の世界での娯楽のあり方を映し出しているようで面白い。

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