2008-09-20

幾多愁 A lot of plaintiveness

政治に疎く、文化・芸術に優れていた中国・五代十国時代の南唐の皇帝・李煜は、宋によって攻め滅ぼされ、幽閉の身となり、愚かさを嘆いて、文化・芸術の才を深めていったという。

「虞美人」とも名付けられたこの詞の「故國不堪回首 月明中」が宋の皇帝の怒りに触れ、猛毒を飲まされ、亡くなったという。

戦国の世の中、どんなに戦略に優れた君主とて、国を想う人の心には毒を盛るしか、術がなかった。

昼の日差しの強さと夜の冷え込みの寒暖が大きくなってきたこの頃、四季の移ろいを感じ、衣替えの時期を案じたりする。

我が身を守る愚かさ、人の世に秀でる愚かさ。
「故国は首をたれてなお、月明かりの中」

春花秋月何時了
往事知多少
小樓昨夜又東風
故國不堪回首 月明中

雕欄玉砌應猶在
只是朱顏改
問君能有幾多愁
恰似一江春水 向東流

春花 秋月 何の時にか了らん
往事 多少(いくばく)かを知らん
小さな塔には 昨夜 又 東風が吹いた
故國は 回首に 堪へず 月明の中

どんなに立派な欄干や石の階段とて まさになお 在り
只 是 若人 年老いるのみ
君に問ふ 能く 幾多の 愁ひ 有りや
あたかも似たり 一江の 春水の 東に向かって流るるに。

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