2010-03-09

地下鉄の謎 Mystery of subway

昨日、病院の帰りに、年度末、障害者の交通費助成の手続きをしに、区役所に行き、新しい年度の福祉乗車証を貰ってきた。

札幌市は障害者の交通費助成が福祉予算を肥大化させるとして、障害者の交通費助成の見直しをしたのだけれど、この時、当事者側から地下鉄の改札機で、いちいち切符を改札に通さずに、切符を改札機の読みとり部分にタッチするだけでよい札幌市営交通独自システムのSAPICAが使えるようにして欲しいという要望が出されていたけど、貰った福祉乗車証は従来の改札に入れるタイプのものだった。

脳性麻痺や脳梗塞など手足に障害ある人の福祉乗車証をみせて貰うと、一年間使わなきゃならない福祉乗車証は折れ曲がったり、すり切れたりで、出し入れの苦労が、市福祉課でもない僕が見てもかいま見える。

札幌市の交通局は累積赤字を解消すべく、市営バスを民間に譲渡して、今現在、市で運営している交通機関は街中を走る路面電車と地下鉄のみになっており、先のSAPICAは民間に譲渡した市内交通網にもその改札機導入のコスト面から折り合いつかずに使えなく、なぜか交通局管理下の市電でも改札機導入がされていなくて使えない、そして、独自システムにこだわったためか、JRなどの同じようなシステムとの連携もなく、札幌市の地下鉄でしか使えないという希少価値なシステム。

その希少価値のSAPICAの専用改札機なるものが地下鉄駅に配備され始めており、市営交通でも自慢げに周知ポスター[PDF]が張り出されている。

そこで、本題「地下鉄の謎」。よく云われる「地下鉄の電車はどこから入れるのでしょう?」じゃなくて、「地下鉄の最新設備の投資はどこから捻出するのでしょう?」

SAPICAの専用改札機は云うまでもなくSAPICAしか使えなく、まぁ、SAPICAを使う人にとってはスピーディさを求めるのだろうから専用改札機が欲しいという要望があって当然だけど、札幌市の地下鉄利用状況[PDF]をみればほとんどが利用者減で、時間帯別を考えれば、せいぜい朝夕のラッシュ時に「さっぽろ」「大通り」「すすきの」「西11丁目」が混雑する程度だろう。何も全駅にSAPICAの専用改札機を設置する必要性なんかないと思うし、従来型の切符を差し込む改札機にSAPICA用のタッチセンサー部をつけた改札機を増やした方がいいと思うし、SAPICAの専用改札機を有効活用するならば、改札機の使い勝手が悪い人たちが使えるシステムにすべきだろう。

他の交通網との汎用性がないSAPICAの専用改札機は昼など見ていると誰も利用者がいなく、旧式の改札機が列を作る場面もしばしば見られる。

札幌市の地下鉄の謎は、SAPICAだけじゃなく、東西線にのみ設置されている地下鉄ホームの防護柵は、それとセットに地下鉄車両を運転手のみのワンマン化も行われ、人件費削減も兼ね備えているというけれど、元地下鉄駅員だった知り合いによれば、路線全体の曲がりが少ない東西線だから出来るので、曲がりが多く、人身事故やトラブルの多い南北線、東豊線の地下鉄ホームの防護柵設置、運転手のみのワンマン化は難しいだろうと話していた。

昨日も区役所に行く途中、地下鉄駅で防護柵の点検整備が行われていたけど、防護柵だって年数経てば新しい防護柵に切り替えなければならないだろうし、今の地下鉄構内の人件費に比べてどれだけの経費削減になるかはあまり期待出来ないような気がする。

どうも行き当たりばったり的な市交通局のやり方を見ていると、危機意識が薄いと云われる札幌市政の実態のような気もするし、減価償却という概念がない行政予算の使われ方が地下鉄でよく表れているような気がする。

札幌市では路面電車の延伸が検討され、それには運賃値上げも提案されているけれども、現状、平日昼など交通網を利用するのは、交通費助成を受けた高齢者や障害者が大半である現実で、運賃値上げ=交通費助成の縮小になることを危惧する。

札幌市の総合交通計画部の交通施策には「札幌市交通バリアフリー基本構想」「札幌市交通バリアフリー特定事業計画」を謳っているのだから、利用実態に合わせた利便性を追求して貰いたいものだけど。

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