2010-03-19

フィリップ、きみを愛してる! I Love You Phillip Morris

春の嵐が来るという。嵐の前の穏やかな日、ジム・キャリー、ユアン・マクレガーのコテコテ・ゲイ・カップルのコメディ「フィリップ、きみを愛してる!」を観に行ってきた。

「フィリップ、きみを愛してる!」と云うために、そこまでするかの犯罪歴で、懲役167年。これが実話で、原作者は現在も刑務所暮らしというアバウトなお話。

世間体を気にして、妻帯者になったものの隠れてゲイ生活を送るのにうんざりした男が、カミングアウトして、家を飛び出し、ゲイライフを満喫するものの、遊ぶためにはお金が必要で、詐欺まがいなことを繰り返し、辿り着いたのは刑務所暮らし。

それが彼の人生を変えることとなり、最愛の「男」と巡り会う。けれどもしかし。

「嘘の奥にある真実を知って欲しい」と彼は弁解するど、出逢いたいがための嘘、付き合い続けたいがための嘘、別れたくないための嘘、やり直したいがための嘘で、懲役167年にもなった男の悲喜劇に、虚栄張り生きる誰かさんの悲喜劇をオーバーリアクションしたかのようでシニカルにもなるけれど、誰かさんと決定的に違うのは「きみを愛してる!」からの嘘。得たい者を得るために、得た者を逃がしたくないために、逃がした者をまた得たいがために、罪を重ねていく彼は、結局虚栄でしか人を愛せないのだろう。

わざとオーバーな演出の愛の告白シーンに流れるビージーズの「ラブ・サムバディ」の白々しいこと。思わず笑っちゃいました。

みんな、愛するのが下手になってきているんだね。

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