なんか「変」も徐々にそれ程気にならなくなり、いつもの「変」に戻りつつあり、人の入りがいいといわれている話題作「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」を観てきた。
観に行く前、ネットの感想の書き込みをチェックしていると、「戦争なんかしなくてもそこそこの暮らしができたんじゃないかな。マジで金で解決しればいいのに」みたいな物があり、戦争に向かう時代の日本の貧困が語り継がれていない事を再認識し、その映画を観に行った。
タイトルバックで、日本テレビ系列のスポンサーと知り、「読売系」の映画なのねと思いもしたけど、今さら戦争美化でもあるまいしと見始め、サイパン玉砕の秘話である事を知った。
「天皇のために死にたがる理解不可能な日本兵」と米軍が語り、「天皇陛下万歳」と腹を切る将校達が出て来て、「生きるために戦え」と諭す竹野内豊扮する大場栄大尉の物語が始まる。
戦争の悲惨、戦争のむごさを日本兵と米兵、日本を知る米将校、軍人と民間人など対立軸を起きながら進む話は感傷的にならずに戦争の難しさを描いているように思えたけど、「負けるはずがない」と思っていた日本の引き際の悪さと「長引くはずがない」と思っていたアメリカ側のいらだちが戦争を泥沼化させたのだろう。
「何とかなるだろう」と思う昨今のご時世で、「負けるはずがない」と思っている世相に「生きるために戦え」と諭す「読売系」と思えば、判らなくもないけれども、サイパン玉砕でアメリカに「敵ながら天晴れ」言わしめた大尉を、少子高齢化で、経済大国からじり貧の今、何故わざわざ描かなきゃならないのか、やっぱりよく判らない。
酸素吸入しているのに、見舞いが来たら吸入器を外して話し始めるという「酔いがさめたら、うちに帰ろう」のいい加減さは、この映画にはなく、飢えた兵隊を映しだしていたのはいいのだけれども。
戦争の悲惨、戦争のむごさは戦争のバカバカしさにシフトするべきなのだろうし。
8月15日以降の戦争が終わりくつろぐ米兵とくそまじめに山に籠もる日本兵の対比はある意味、戦争のバカバカしさのようで面白かったけど。
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