2000年から6年にわたって、韓国の聴覚障害者学校で起きていた、教員らによる生徒への性的虐待事件。その事件を映画化した作品で、この映画公開で韓国の世論を動かし、学校は廃校、教員達は処罰され、法改正にまで至ったという。
映画を観ていて、1998年にテレビドラマ化された「聖者の行進」を思い出した。
「聖者の行進」の元事件は水戸アカス事件といわれる1995年に茨城県水戸市で発覚した知的障害者に対する雇用主の暴行・強姦事件で、ドラマ放映後、話題になりつつも、不起訴のため刑事裁判では審理されず、民事裁判で2004年に賠償金を支払うよう命ずる判決が下されたのみで終わった。
本作の事件も水戸アカス事件と似たような流れで結審したものの映画が世論を動かした。
映画自体は韓流ドラマの流れを組む作りで、スローモーションの多様、K-POPのBGMなどエンターティメントな作りになっていてごく普通と感じられるけど、韓国世論への煽り方がうまいのかなと思ったりした。
「聖者の行進」はテレビドラマとあって甘い描写もあったけど、事件の本質は捉えられていたけど、世論を動かせなかった。
日本のドラマ作りのうまさはかなりのものと思うけど、ぶつかる相手からの攻撃を恐れてか、社会性のドラマになると及び腰になる。
それは自己規制による性的描写の排除であったり、実際の事件のドラマ化は実名を伏せるなど挙げられるだろうけど、そういった閉塞的な体質が国際社会で通用する作品が生まれにくい土壌を作っているのだろう。
韓流の面白さはそういう垣根を乗り越えようとする制作陣の努力であり、国際的に通用する作品が生まれる由縁だろう。
児童虐待を真正面から捉えた作品が日本で作られる日は来るのだろうか?そして、それに怒る世論が巻き起こるのだろうか?
日本の部落性を考えながら映画を観た。
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