ジブリ映画を映画館で観たのは「平成狸合戦ぽんぽこ」以来。
宮崎駿の最新作で、航空技術者として軍用機の名機を作り続けた堀越二郎の半生と作家堀辰雄の悲恋を描いた小説「風立ちぬ」の二つの話を重ね合わせた物語。
堀辰雄の小説「風立ちぬ」は山口百恵、三浦友和コンビの映画で知っていたが、堀越二郎の話はよく知らなかったのでどんな絡め方をさせているのかが気になって観た。
多分、宮崎駿は堀越二郎の話を作りたかったのだろうけれども、それだけでは軍用機の名機を作り続けた堀越二郎の半生を見誤ってしまうと感じたのだろう、堀辰雄の「風立ちぬ」を絡めたのだろう。
そこで気になるのは二郎と菜穂子が出逢うのが関東大震災で、これはどちらの話にもない宮崎駿の創作。戦争へと突き進む時代の始まりになった関東大震災を持ってきたのだろう。
「風立ちぬ、生きねば」という主題がその後、二つの話を絡ませることによって成り立つ。
けれども、ここでせっかくの二つの実話を絡めたことで実話の重みはなくなり、宮崎駿の戦争時への思いが語られる事になり、軍用機の名機を作り続けた堀越二郎の戦後、「生きねば」という思いに繋がるにしては戦争の死と恋人の病死がうまく結び付いていない気がする。
かつての宮崎アニメならペーソスを添えて笑わせながら考えさせたお話が今回は笑わせることなく、ひたむきに生きる人達の話になり、その分しんどくなりつつも、二つの実話の境を見えなくした。
宮崎駿は何を描きたかったのだろう。見終わって判るような、判らないようなそんな気分が残った。
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