河瀬直美の新作というより、樹木希林の名演が観たくて、でも、上映開始時間が夕方のみだったので諦めていたところ、昼からの上映が追加されたのを知り、観る。
「私たちは見て、聴くために生まれたのかも知れません」
ハンセン氏病で療養所生活を余儀なくされた老女と人を危めた前歴を持つどら焼き屋の店長の交流で綴られる映画は本当の時間の流れを見せてくれる。
どら焼きのあんを作るために日が昇る前に店に入り、小豆に対するおもてなしと「頑張れ頑張れ」と見守る。見守ることが仕事であるかのような老女に自然の中で働く姿が見えてくる。
樹木希林さんと孫娘の内田伽羅の語らいもいいし、療養所の友だちとして出てくる市原悦子とのやりとりもいい。店長役の永瀬正敏は樹木希林の聞き役としていい味を出している。
樹木希林さんだから出せる味。そんな映画は生き老いることと向き合わせてくれる素晴らしさがある。
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