日本がまだ青い海と深い森に守られていた頃、人間も野性的に生き抜く術を持っていたのかも知れない。
白戸三平の「カムイ外伝・スガルの島」の映画化作品崔洋一監督「カムイ外伝」を観ているとそんなことを思い巡らす。
人として扱われない非人の生きる術は「忍び」しかなく、「忍び」として生きられない者は「抜け忍」になるしかない。村社会の掟は逆に「天狗」とも相通じるアウトローを生み出していった。
崔洋一監督の師、大島渚の白戸三平原作の映画化「忍者武芸帳」は「敵の懐に入り、かく乱せよ」という戦術論だったけれども、今回の「カムイ外伝」は奪われた者が生き抜くために人を殺すというシンプルな物語になっていた。
「己の作った地獄で死ね」と叫ぶ不動の言葉は「己の作った地獄で苦しめ」となり、村社会から抜け出ることの出来ない民衆の物語にうまくなっていたと思う。
多用されるCGはCGを使わなければ再現出来ない失われた大自然を思い出させ、人間は昔、野山や海を駆け回る生き物だったことに気づかされる。
「己の作った地獄で苦しめ」の演技が一番ぴったり来る松山ケンイチも運動神経ダメダメという割にはなかなかの頑張りだった。
果たして、この映画、続編は作られるのだろうか。(笑)
0 件のコメント:
コメントを投稿