高麗歌謡の「霜花店」は餃子のような饅頭を売る店を歌ったシンボリックな歌である。
中国「元」の隷国として存在するしかなかった高麗時代の末期、男しか愛せない高麗王は、幼い時から寵愛した親衛部隊の総官と床を共にしながらも、「元」より政略婚で嫁いだ王妃がおり、世継ぎが出来なければ、別な者を王座にと「元」から催促され続けている。
高麗王は総官に世継ぎ作りを命じ、王妃と交わらさせる。
愛する者に生きる高麗王は総官に似た「我が子」を抱くことを望み、生きるために愛する(ふりをする)総官は王の命令に従うけれど。
大国に楯突けない隷国の王に仕える王妃と総官、その三つどもえの「愛」は権力の元、どんどん見えなくなり、憎しみ、恨み、裏切りが破滅へと導いていく。
雙花店(饅頭屋)に、雙花(饅頭)買いに行ったら
蒙古人の主人が私の手首を握ります
この話が店の外でうわさされると
小さいお前、小役者、お前が言ったと思うぞ
お前の寝所に私も行く
こんなひどい寝所はみたこともない
弱い者が自分より弱い者に「愛」を求めても、「愛」は得られなく、より弱い者たちもまた「愛」を得ることはない。
男と男と女の物語は我を張らずにいられない人の孤独が見えてくる。
共に野を駆け回る夢はあるのに。