岩手県の遠野に伝わる姥棄ての伝説、その墓場のある場所を蓮台野と書き、「デンデラ野」と呼ぶという。
父である故・今村昌平監督が生への執着心で描ききった映画「楢山節考 」の続編ともいわれる天願大介監督の映画「デンデラ」を観に行った。
団塊の世代の名女優達が生き延びた老婆たちを演じるこの映画は、姥棄てされた老婆達の生の執着が描かれているはずだった。
男社会の中、老いて長生きする年寄りは穀潰しと蔑まれ、お山に棄てられ、凍死する習いに、死にたくない老婆たちは原始的な共同体を作り、生き延びる。
共同体の掟はシンプルで、身体の動かぬ者は面倒を見る。意見の合わぬ者は「臆病者」と蔑むけど、見捨てはしない。
老婆たちの原始共同体の面白さが生きる執着になっていけば面白い話になったものを、物語は老婆たちを棄てた村への復讐、ヒグマの襲撃と生きる執着を十分に描かぬまま、話が進むからせっかくのシュチュエーションも生きてこない。
父、今村昌平の「楢山節考 」がオールロケで、リアリティに拘ったのに対し、「デンデラ」は舞い落ちる雪からしてCGを使っている分、極寒のリアリティもないまま、暑さしのぎにもならず、単なる老婆たちのアクション映画で終わってしまった。
浅丘ルリ子はじめ、名女優たちの激突も何かセリフのから廻りようで、名女優たちを活かしきれずにいる感じもした。
題材、配役などもっともっと面白くなるはずなのに、凄くもったいない。
天願大介監督にアクション映画は向かないと思うし。
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