山田洋次の新作で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を黒木華が受賞したと話題にはなっているけど、いまひとつ食指が動かなかったが、観に行くとなかなかの作品。予告編での先入観が見当外れだった。
戦時中に女中奉公をしていた女性が孤立死していたところから物語は始まり、女性を慕う甥子に書き残した戦時中の物語が映画の本筋となる。
中流家庭に女中奉公に入った女性が裕福な家庭が戦争に巻き込まれていく様を見せつつ、奥さんの不倫をかばい通そうとする女性の物語は華々しい戦争場面を描かずに描いた戦時中の物語。
甥子とあの当時の状況を話す女性や奉公先の家庭での戦争の話などいかにも戦争をどう見るかの描き方はあるものの、本筋の奥さんの不倫をかばい通そうとする女性の物語が戦争のむごさを感じさせる作りは確かにうまい。
80代映画監督のひとり山田洋次のうまさは常連の俳優達を配し、物語に集中した作りが功をなしたのだろう。
あの戦争を実体験した人たちがどんどん少なくなる時、あの頃を語ることはどんどん難しくなり、浮かれながら貧困化していく社会になっていくんだろうな。
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