2007-05-06

ロングウェイ・ホーム A Long Way Home

ロングウェイ・ホーム

娼婦の母と無職の父から生まれた3人兄弟は、無宿暮らしの末に置き去りにされる。幼い子供らはそれぞれ養父母に引き取られ、引き裂かれ、自らの意志を示せるようになる18歳まで兄弟の行方を調べる事すら禁じられる。

映画『ロングウェイ・ホーム』は、1981年9月6日にABCネットワークで放映され、全米で45%という驚異の視聴率を記録したテレビドラマを、劇場公開用に再編集されたもので、アメリカで実際にあった3人兄弟の再会劇を描いたヒューマンドラマである。当時、映画『普通の人々』でスクリーン・デビューし、多感な青年役を好演し、オスカーを得たティモシー・ハットンが長男役を演じ、話題になった作品でもある。

封切り時に劇場で思いきり涙した映画であったが、DVD化されていないため、中古ビデオ屋を探し回った末にようやく入手。 二度目の"再会”にまた涙した。

警察に保護され、児童擁護センターに収容された子供らは、里子として引き取られる際、兄弟別々に引き取られる。それは引き取る里親のやむおえない事情であるにせよ、幼い子らには、生きる権利が優先され、自分の兄弟と暮らす権利を与えられない過酷なものとなる。

その長男が、兄弟の再会を夢見、18歳を迎えても、弟、妹がまだ未成年である事など、それぞれの家庭状況に配慮し、児童擁護センターのカウンセラーを介する事が義務づけられ、養子縁組された兄弟に直接逢う権利も子供らには認められない。

子供の権利とはなんなのか。その立場の心理的状況に立ち、法制化したアメリカ合衆国の法律ですら、当人達を過酷な運命に生きる羽目にしてしまう。

このドラマは、幼い弟妹をかばい、盗みをしてまで食料を持ち帰った長男が、弟妹との奪われた「家族」を取り戻すまでの物語だ。

「子供だった俺を思いきり叱りつけた」
「俺も子供だったよ」

再会を果たした時、養父母との折り合い悪く苦労した弟は、兄に幼かった時の恨みつらみをぶつける。兄は必死に生き、必死にかばった日々を思い返す。

幼かった妹は自分の本名すら覚えておらず、長男の伝言役を果たす児童擁護センターのカウンセラーが差し出したメッセージの着信を拒む。

ねばり強い兄とそれに答えようとするカウンセラーの努力が「ロングウェイ・ホーム」を結実させる。

熊本市・慈恵病院の赤ちゃんポスト設置など、命の尊さを巡る問題が浮かび上がり、議論される日本で、果たしてどのくらい置き去りにされた子供の将来は語られているのだろうか?

法律では癒せない、心の傷を癒せる環境「ロングウェイ・ホーム」。生身の人間にはそれが必要なのだろう。

  • ohmynews : 『ロングウェイ・ホーム』に想う

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今から30年ほど前に福岡で見た記憶があります。
映画が終わって出てきたカップルで泣いているのは 男性ばかりでした。
この当時から 女性は強かった!。

cinema-novo さんのコメント...

男はロマンティスト、女はリアリストですからね。

映画が終わって出てきたカップルを観察出来るあなたはどっちなのでしょう。

リアリストの方が案外物覚えがいいのかもね。

匿名 さんのコメント...

泣きましたね。号泣そのもの。声まで出てしまい恥ずかしくて外に出られませんでした。となりに座る友人も同様に…。私50歳のオヤジです。