映画制作の資金繰りに苦労され、テレビのワイドショウに出たり、海外の評価に願いを託した頃の大島渚作品『戦場のメリークリスマス』。
映画=物語的なニーズを持つ日本では賛否別れるところであったけれども、ディスカッション作家大島渚は、日本、英国というナショナリズムの激突の馬鹿馬鹿しさが、本来日本人が持つ他者との協調の美学が、むしろ進んで捕虜になる英国人にあった事を描いている。
映画が公開された年1983年、僕自身スタッフとして参加したさっぽろ映画祭にて、大島渚の過去の作品群を上映する企画を組み、その時、ご本人も来られたのだけど、舞台挨拶の時、大島さんは「古い作品をこうやって上映してくれて、ありがとう」と感涙し、言葉詰まらせておられた。
海外資本の元での映画制作の苦労なのか、力になろうとしない同胞人の非情さへの悔しさなのか、今だ判りかねるけれども、舞台で男泣きした大島渚を僕は見た。
Merry Christmas, Mr. Lawrence
あのビートたけしは寂しき地球人、大島渚なのかも知れない。
現在、大島渚が権利所有する映画のDVDは残念ながら、国内廃盤、レンタルビデオを捜すしか観られる機会はない状態。
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