2009-11-14

人生讃歌 Life admiration song

森繁久弥さんが亡くなられて、緊急追悼特集としてJ:COM日本映画専門チャンネルで、「夫婦善哉」、「警察日記」などの代表作が放映されている。[緊急特別編成 追悼・森繁久彌]

日本の男の不甲斐なさ、甲斐性なしを演じさせたら天下一品といわれた森繁久弥さんの名作は今観ても心揺さぶるものがあり、これまた代表作の「猫と庄造と二人のをんな」などは二人の強い女の板挟みに合い、飼い猫に我が身を寄せる情けない男を演じ、白眉でもあったし、粋がっている日本の男のもろさをこれほどうまく演じた役者さんはもう現れないかも知れないとも思う。

その森繁さんがテレビドラマの黎明期に「七人の孫」というドラマに出演し、その主題歌を作詞し、歌ったのが「人生讃歌」だという。

生放送が主流の時代だったため、「七人の孫」の映像は現存していなく、僕もおそらくリアルタイムでは観ていないと思うけど、この歌は学生の頃に活動していた映画サークルの人がサークル仲間の結婚式の時に必ず歌う歌として、聴き親しんできた。

団塊の世代のその人が社会人になりたての頃、放送されていたお祖父ちゃんと七人の孫の物語は大家族が健在だった時代を象徴するドラマだったのだろうか、いつも結婚式で「人生とはいいものだ」とその人は誇らしげに歌っていた。

どんなに時代が移ろうと
どんなに世界が変わろうと
人の心は変わらない
悲しみに喜びに
今日もみんな生きている

初めて、森繁さんの歌を聴き、その時代がかった歌に照れは感じるけど、そうだよねと頷く自分もそんな当たり前の事がいいなぁと思える歳になったのかも知れない。

100歳までは生きられなかったけれど、生きていられた事を森繁さんは喜んでいるんだろうなぁ。駄目男を演じた人は老いる前に「恍惚の人」で自分の垂れ流したうんちの中で助けを乞う老人を演じていた。

「ほんまに頼りにしてまっせ」が口癖の「夫婦善哉」の森繁さんは人を頼りに何とか生きる日本の駄目男の弱さ、ずるさをひっくるめて「人生とはいいものだ」と歌ったんだろうなぁと思いもする。

「人に迷惑をかけてはいけない」ともっとらしい事をいう人だって、生きてるからには一杯迷惑をかけている。それが生きることなんだぜって、森繁さんの出ている映画は描いているような気もするし。

だけどだけど
これだけは言える
人生とはいいものだ

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