「社長は誰でもなれるけど、課長は下積みしなければなれるものではない。」と語られるニッポンの課長さんたち。
今世紀初頭に書かれたこの本では、バブル後遺症からの会社建て直しに奔走する課長さん、不景気風もなんのそののヒットメーカーの課長さん、動物園から児童虐待、ロボット開発まで社会貢献に全力尽くす課長さん達、おらが町、おらが村を活性させる課長さんなどなど、ホワイトカラーとブルーカラーの狭間に立ちつつ、小さいながらもおらが部署を守り抜こうとする30代から50代の課長さん達の生き様をレポルタージュして読ませてくれる。
そこから見えてくるのはお先が見えない今の日本でどうすれば活路を見いだせるかの試行錯誤。
そこで時々出てくるのが、当たり前とされてきた東京志向への抵抗。
東京から上海にビジネス拠点が移りつつある時、沖縄を中心の地図を思い描けば、沖縄はアジアの中心にある。普天間ばかりのアジアの中心論争の昨今、沖縄はビジネス業界でもアジアの中心になろうと試みる。
東京と上海のバックアップとしての沖縄、地震が比較的少ない沖縄、物価単価が安く、若者の就職難で人件費を抑えられる時事事情などなど、売り文句を探し回るIT課長さんはここに登場する課長さん達の代表格みたいな存在。
板挟みの中間管理職は上に余計な口を挟ませない、下にリーダーシップを発揮する、か弱いながらも一国の主のような立場でもある。
上を3割、下を7割見ている人が出世する人でしょうと語られる課長さん像は、太鼓持ちで、お山の大将でもダメという微妙な位置。
だからこそ、すごろくは前に進めるのであるのだろうなぁとビジネス力学を読む私。
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