2012-11-04

孤独なツバメたち デカセギの子どもに生まれて Lonely Swallows

日本で生まれた日系ブラジルの子供たち。新天地ブラジルで思うようにいかず、舞い戻ってきた「デカセギ」の親たち同様、この子等も日本とブラジルを行き交うツバメになる運命を背負わされている。

自動車部品の工場が建ち並ぶ街、浜松の浜松学院大学の教授・津村公弘さんと中村真夕監督の共作として作られたこの映画はそんな日系ブラジルの子供たち何人かを追跡したドキュメンタリー映画。

日本人の血を引きつつも外国籍だからという理由で義務教育も補償されず、幼い頃から働く彼らにリーマンショックの不況は派遣切りの首切り宣告を突き付け、再就職先の目途も立たずに、帰ったことのない母国・ブラジルに生活の糧を求める。

幼い時から一緒だった仲間と離ればなれになれなく日本に残る奴もいれば、ブラジルで日本の仲間達を思い返す奴もいる。

彼氏を日本に残し、ブラジルに旅立った15歳の女の子は17歳で親兄弟の家族を養うまでになっていた。

「日本はお金が入れば欲しいものがすぐ買えて楽しいけどブラジルは買えるだけのお金が稼げない。けど生きているって感じ」

「日本なんか嫌いだ」と繰り返し喋るけど日本から離れるのが怖い少年もいれば、ブラジルの暮らしに馴染めず日本に帰ることを夢見る少年もいるし、貧民街の連中と仲良くなり、こいつらにヒップポップを教えてやり、非行に走らなくてすむ仲間を作るんだと語る少年もいる。

そんな彼らを観ていて、ブラジルの伯父サンビスタ・ギリェルミ・ジ・ブリートの「新しい生命」を思い出した。

ひとりの子供が産まれる
もしも幸せのために
生まれたというなら
残念ながら そんな人生は嘘っぱちさ。
だって笑いながら
生まれた人間なんて見た事無いよ

人は生まれるべくして生まれ
微笑みのかわりに 涙をながす
人生は言う、
生きるということは
幸せになるために
苦しまなければならないことだと

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