2012-11-11

渋谷ブランニューデイズ Shibuya Brand New Days

日本の貧困問題についてはニュースになった時に知る程度で系統立てて知ったのはこの映画を通じてのような気がする。それくらい、日本の貧困問題の歴史を丁寧に語ってくれたことは有り難い。

高度成長時からある日雇い人夫の街山谷もバブル崩壊とともにその雇用形態が崩れ、派遣法成立により、非正規労働者の増加は労働人口の4割を占めようとする勢いになり、リーマンショックによる派遣切りでの野宿者の増加は派遣村の炊き出し風景はニュースで知っていたものの、最近の生活保護受給者の急上昇ばかりがニュースとして耳に入っても、東日本大震災で炊き出し支援の物資が被災地に廻って、野宿者支援に行き渡らなくなったことや観光立国による街の美観整備が野宿者のねぐらである段ボールハウスの撤去強制執行にまでなっているのはよく知らなかった。

この映画の主役を務める男性は僕と変わらない歳であり、定職がありながらも事故に巻き込まれたことからの長期入院が働き口を失うきっかけとなり、携帯電話が止められ、家賃滞納のアパートからの追い出しの末、野宿になったという。携帯電話が止められているからメールのやり取りが出来なく、就職を断られ、アパートからの追い出しで相談しに行った役所では「追い出される前に来てくれれば」と無理難題をいわれる始末で、結局、野宿生活を余儀なくされる。

炊き出し支援には近隣住民から「甘やかすな」という声が飛び交い、国の税金で喰っている公務員による急増する生活保護水際阻止の抵抗と街の美観のための税金を使いたいがための野宿者強制排除。

映画の中、外国人の支援者が「21世紀の日本は生活保護も受けられない野宿者が急増している」と語るように負債大国は野宿者の最低限の生活保障を拒み続けている。

国民総中流で実現可能な社会保障が壊れ始めた証のように。

0 件のコメント: