吉田修一原作、李相日監督の「悪人」に続く新作。
犯人が捕まらない殺人事件から一年後、三人の不審な男のドラマが平行して描かれるこの映画はそれぞれを取り巻く人間たちの物語を淡々と描かれる。
行きずりのゲイの恋物語、身を持ち崩した娘とつきあう男、沖縄に転校してきた女子高生が出会った男。
出会った男を疑り、見下す物語が不審な男たちを作り上げ、惨殺事件の犯人を追う刑事のドラマがサスペンスを盛り上げる作り。そこがあざとくも感じられ、サスペンスのためのシチュエーションのようにも思ってしまう。
三つの物語も殺害事件の話も意味深ながら謎は謎のまま終わっているようで、すっきり映画が終わらないのもどうも居心地悪い。
ヒッチコックの『裏窓』がのぞきをしつこく描きながらのぞきはいけませんという終わり方に大人のブラックジョークを感じたのに対し、犯人捜しをさせて、見下すいやらしさを見せつけられるのはなんかユーモアにもならない皮肉のようでもある。
物語としてすんなりまとまっているゲイのドラマはそれなりにいいとは思うけど。
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